このシリーズでは、東大に引き続き、平成の京大理系数学の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
京大の数学の問題も、難易度は高いですが良問の宝庫であり、演習価値が非常に高いです。
(時々、どうしようもなく難易度が高く、筆者の力量でも解けない問題が出てくることがありますが、どうかご容赦くださいm(_ _)m )
25回目の今回は、1995年の問題です。
第1問
条件を満たす1次変換の行列を求める問題です。
与えられた条件が全てOPの割り算で書かれているので、P(rcosθ, rsinθ)と極座標で表現すると、OP =rと一定値になり見通しが良いです。
この表現からOQ, ORをそれぞれ求めると、aとbの条件式が2つできるので、それらを連立すれば解けます。
sin,cosが含まれる関数の最大最小を考えるので、三角関数の合成を使用しましょう。
<筆者の解答>
第2問
整数問題です。
与えられた方程式の左辺はa-bを因数に持ち、かつ右辺が素数となっているので、a-bは±1, ±dに限られます。また、もう一方の左辺の因数がp-1以上となるので、a-b = 1で確定します。
このときd = (b+1)^p - b^p となり、偶奇が一致しない二つの整数を引き算しているのでdは奇数となります。
また、2項定理を使うと、dは、pCkの和 + 1の形で書けます。ここで、kが1からp-1までの範囲にある時、pが素数なのでpCkはpの倍数になります。
以上2つを合わせれば、d-1は、偶数かつpの倍数、すなわち2pの倍数となります。
<筆者の解答>
第3問
3次関数と2次関数の3つの交点での接線が1点で交わる条件を考える問題です。
(1)3交点のx座標を、α、β、γとすると、この3つはC1,C2を連立してできる3次方程式の解であり、かつ、3つの接線が(p.q)を通る条件からできるもう一つの3次方程式の解でもあります。
両者の解と係数の関係が一致することを利用しましょう。
(2) (1)で求まった3次方程式が3つの実数解を持つ条件を求めればよいです。qを分離する定数分離でうまくいきます。
<筆者の解答>
第4問
行列を題材にした創作問題です。
(ロ)のルールが分かりにくいので、実験してみましょう。
すると、C3 = AABA, C4 = (BA)^2*C3, C5 = C3^2* (BA)^2*C3 のようになり、C3と (BA)^2の2種類の行列しか登場しないことが分かります。
ここで、 (BA)^2を計算してみると、なんと単位行列になってしまいます。
よって、C4 = C3となるので、C3に(ロ)の操作を何回行ってもC3のまま変化しないことが分かります。
<筆者の解答>
第5問
7席が横一列に並んでいるときに、特定の座り方の発生確率を求める問題です。
与えられたルールは、
・両端と、すでに人が座っている隣の席は等確率
・両隣が空席の場合は、2倍の確率
ということで、両隣に人がいないときにより座りやすいルールとなっています
(人間の心理としてそうなんでしょうね。私自身、電車に乗る時は、なるべく両隣に人がいない座席を狙いますし笑。ただ、同じように両端の席も、映画館とか新幹線とかでトイレに行きやすい分ねらい目だと個人的には思いますが。。。)
このルールに従うと、着席順によって逐一確率分布が変化するので、虱潰しに調べましょう。(2)では、対称性などを使うと、多少楽になります。
<筆者の解答>
第6問
微分方程式の問題です。
水面の面積をyで積分すると水量Vtとなるので、これを使うと微分方程式が立ち、tをyで表現することができます。
また、水面の面積は、π×x^2とも表現できるので、ここからf(y)が決まります。
Tは、VT=容器の体積で求まります。
<筆者の解答>