ちょぴん先生の数学部屋

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平成の九大理系数学 -2017年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、九州大学の2017年の問題を取り上げます。

 第1問

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tanxとsinxの交わりを考える問題です。

 

(1)atanx = sin2x を因数分解すると、sinx (2cos^2x -a) = 0となるので、2cos^2x -a = 0がx=0以外の解を持つ条件を考えましょう。

 

(2)接線の傾きの積が-1になることを使って計算です。

 

(3)C1, C2を図に書いて積分を実行しましょう。

 

<筆者の解答>

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 第2問

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空間ベクトルの問題です。

 

(1)は典型問題でしょう。GをC, Dで表し、AGベクトルとCDベクトルの内積=0を使います。

 

(2) (1)と同じようにHの座標も求めて、AGベクトル、BHベクトルの長さと内積をそれぞれ計算しましょう。

 

<筆者の解答>

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 第3問

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等差数列が7で何回割り切れるかを考える問題です。

 

(1)an = 4n -3 となるので、nを7で割った余りで分類して、anが7で割り切れるためのnの条件を求めましょう。

 

(2) (1)でさらにもう一回7でanが割り切れる条件を深堀して探します。

 

(3) (1)から、anが7で割り切れる条件はn=7m-1となることです。anの積が7で何回割り切れるかを調べるので、7で割り切れないものは除外してanが素因数7をいくつ持つかに注目します。

mについて最初の7個部分を並べてみると、bm = a(7m-1)とすると、b1×・・・×b7は素因数7を8個もちます。anが初めて7で3回割り切れるのはm=37の時なので、そこに至るまでは、この8個という周期が続くことになります。

 

調べていくと、8個という周期が5セット続いたあと、素因数7が、1個→3個→1個と増えて合計45個になることが分かります。

 

<筆者の解答>

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 第4問

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確率の問題です。

 

(1)(2)はまとめて解いたほうが良いでしょう。

誰の番になるかの状態推移を考えて、n回目にA, B, Cそれぞれの番になる確率an, bn, cnを使って漸化式を立てます。

 

漸化式を順番に適用していくと、a4, a7 が求まるので、それを1/2すれば(1)が求まります。

 

漸化式の両辺を全て足すと、dnの漸化式になるので、dnを求められます。

 

(3)漸化式からbn, cn,を消去しましょう。

 

<筆者の解答>

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 第5問

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複素数の表す点が三角形に収まる条件を求める問題です。(1), (2)はあまり大したことありませんが、(3)が非常に重たい問題です。(3)は本番では捨ててOKでしょう。

 

(1)は、znを極形式で表現できれば瞬殺です。

 

(2)も、不等式を解くだけなので難しくないです。

 

(3)は、ボリュームが非常に多く解ききるのが厳しいでしょう。

(1)の結果から、znの偏角は0<θ<2πの範囲で全部で12種類あります。この12方向それぞれに対して、絶対値がどれだけあると三角形の中に入るかを検討しないといけません。

 

その長さを総当たりで調べる必要があり、またそれぞれに対してznの絶対値がそれ以下になるnの条件を虱潰しに調べないといけません。log3絡みの数値計算も加わるため、非常に大変です。

 

<筆者の解答>

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