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平成の北大理系数学 -2016年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、北海道大学の2016年の問題を取り上げます。

 第1問

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複素数の絶対値を考える問題です。

 

'(1) zが半径2の原点中心の円上にあるので、zを極形式2(cosθ+isinθ)で表現すると、計算の見通しが良くなります。

 

(2)xの動く範囲が-2≦x≦2となるので、この範囲で|w|^2の最大最小を考えましょう。aの値によって場合分けが発生します。

 

<筆者の解答>

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 第2問

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積分方程式の問題です。

 

(1) ∫f(t)sintdt を定数で置いて、代入しましょう。(指数関数)×(三角関数)のタイプの積分は、部分積分の繰り返しか、原始関数直接計算で処理します。

 

(2) g(a)をaで微分すればよいです。g'(a) = f(a) - f(-a)となります。

 

<筆者の解答>

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 第3問

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2つの引き出しに入っているメダルの色の組み合わせを調べる確率の問題です。2016年がリオデジャネイロ五輪の年だったので、それに肖る出題でしょうかね。

 

全体を通じて、各メダルに名前を付け、それぞれの番号のメダルに色を割り当てる、という発想で数えます。

 

(1)Aの中身が1色になる場合と3色になる場合を全体から引き算すればよいでしょう。

 

(2)2色の中に「銅」が含まれているか否かで状況が変わるので場合分けして数えます。

 

(3)「AとBの金の合計=3 かつAが2色」となる確率と、「AとBの金の合計=3」となる確率をそれぞれ計算しましょう。

 

<筆者の解答>

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 第4問

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4項間漸化式の特性方程式に関する問題です。

 

(1)3次式の増減を調べます。3つの0でない実数解をもつ必要十分条件は、

・極大値と極小値を持つ

・極大値と極小値が異符号である

の2つなので、これらを確認します。2番目の条件は、極大値×極小値<0と言い換えることができるので、こちらの式であれば解と係数の関係が使えて処理が楽になります。

 

(2)は、anの式は仰々しいですが、怖がらずに漸化式に代入すれば、拍子抜けするほどあっけなく示せてしまいます。

 

(3)整数係数の4項間漸化式(かつan+3の係数が1)なので、a1, a2, a3が整数であれば、帰納的にanすべてが整数だと言えます。よって、a1, a2, a3を頑張って計算して整数であることを示しましょう。

 

<筆者の解答>

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 第5問

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空間内にある直線と球面の交わりを考える問題です。

 

(1)は典型問題です。QをOAベクトルとOBベクトルで表現して、PQベクトルとAQベクトルの内積が0になることを利用します。Rについても同様です。

 

(2)直線と球面が接する条件は、直線と中心との距離が半径に等しいことです。直線と中心との距離は、すでに(1)で考えていますので、結局PQ=PRであればよいことが分かります。

 

(3) (2)の式から(s,t)の軌跡は放物線です。「焦点」「準線」とは、放物線の定義、「ある定点からの距離とある直線からの距離が等しい点の軌跡」における、「ある定点」「ある直線」のことです。

 

一般に、放物線x=1/4py^2の焦点は、(p, 0), 準線はx= -pと書けることが知られていますので、今回の問題は、これを適切に平行移動すればよいです。

 

<筆者の解答>

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