ちょぴん先生の数学部屋

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平成の阪大理系数学 -2016年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、大阪大学の2016年の問題を取り上げます。

 第1問

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関数列と確率の融合問題です。

 

(1)は、とりあえずn=5の時までfn(x)の式を具体的に求めていきましょう。

 

(2) (1)での考察から、r= 1/a+1/bとすると

f2n(x) = sinπ(nr-x), f2n+1(x) = sinπ(nr+x) が予想できるので、これを帰納法で証明します。

これが分かると、fn(0)の値は12周期で決まるので、問題文の式が計算できることになります。

 

(3) (2)より、f6(0)=0となるのは、3rが整数になる時であり、1/3≦r≦2と範囲が決まるので、rの候補を大分絞ることができます。

 

あとは、それぞれについてa,bの組を総当たりで調査です。

 

<筆者の解答>

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 第2問

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関数の最大最小を求める問題です。

 

(1)は、x+y =cという拘束条件からして、相加相乗平均の関係を使いそうです。与式を展開して通分すると、分母のxyについて相加相乗平均の関係を適用できます。

 

(2) (1)では最小値を問うていて、この問題では最大値を問われています。一瞬戸惑ってしまいますが、x+y+z=1かつ全部正の実数の時、1-4/(3z)は必ずマイナスになります。

よって、実質、(1+1/x)(1+1/y)(4/3z -1)の最小値を求める問題となり、(1)が使える形になります。

(1)でc=1-zとすればよいので、予選決勝法を使うことができます。zを固定して、xとyを動かし、最後にzを動かします。

 

<筆者の解答>

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 第3問

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円と放物線が接するとき、両者で囲まれた図形の回転体の体積を求める問題です。

 

(1) (a,b)で円と放物線が接するとき、(a,b)での円の接線と放物線の接線が完全に一致します。この条件から求めます。

 

(2)は図を描いてしまえば典型的な体積の計算問題です。計算ミスのないように慎重に進めましょう。

 

<筆者の解答>

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※(2)の答えに一部ミスがありました。√6の符号はマイナスが正解です。

 

 第4問

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調和級数に奇数の積をかけた数について考察する問題です。本セット最難問です。

 

(1)いきなりSnで考えると難しいので、一つ一つの1/kについて個別に考えて足し上げることにします。つまり、tk = 2^N*An/kとして、これの偶奇を考えます。すると、k=2^Nのときだけtkは奇数になり、それ以外は偶数になることが分かります。

 

(2) (1)より, Sn = (奇数)÷2^N÷Anという形になるので、Sn= 2+ m/20 = (m+40)/20のとき、Nは2以下になります(20は2で2回割り切れるので)。N=0, 1, 2の場合それぞれに対し総当たりでチェックしましょう。

 

(3)は捨て問と言ってよいと思います。

A20S20を直接計算して、整数部分をできる限り除外していきます。途中(2)で示した式も使うと多少楽になります。

 

最終的に、2341×(1×3×11×13×15×17×19) を16で割った余りを求めることになります。

これは合同式を使わないと対処不能です。。

 

<筆者の解答>

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 第5問

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正五角形に関する問題です。

 

(1)は、2種類の二等辺三角形について余弦定理を使います。

 

(2)は、正5角形の対角線には「黄金比」が出てくることを思い出せると見通しが良いですが、思い出せなくても十分解けます。(1)の式も使いつつ、比の関係を使ってzを求めましょう。(答案の図1参照)

zが分かると、視覚的にベクトルが求まります。

 

(3)もまた、図形的に求められます。

 

(4) (3)で相似比が求まったので、面積の比はその2乗になります。あとは、無限等比級数の計算になります。

 

<筆者の解答>

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