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平成の阪大理系数学 -2015年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、大阪大学の2015年の問題を取り上げます。

 第1問

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積分値の極限を求める問題です。発想力が問われる問題です。

 

(1)x/n =t と置換することが第1ステップです。すると、logにかかっている分数が1より小さいので、∫log(1+t)dt より小さいことが分かります。

 

(2)  (1)を参考にして∫log(1+t)dt を作ってあげると、∫log(1+t) ÷(1+nt) dt という積分が登場します。ヒントになっている形を作るには、∫1/(1+nt) dtという形が作れるとlogが登場して都合がよさそうです。よって、分子にあるlog(1+t)を先に評価してあげるとよいです。

はさみうちの定理によって∫log(1+t) ÷(1+nt) dtが0に収束することが分かるので、収束値は残った∫log(1+t)dtになるので、最後はこれを計算しましょう。

 

<筆者の解答>

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 第2問

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不等式評価の問題です。

 

真ん中の式がごちゃごちゃしていますが、実は[ x√(1-y^2) + y√(1-x^2) ] ^2 と因数分解できることに気付けたでしょうか?

 

これさえできれば、x√(1-y^2) + y√(1-x^2)の取りうる値を調べればよいことになります。予選決勝法で考えましょう。

 

[2020/11/16 追記]

文系と共通問題だったことが分かったので、微分を使わない解法を発見しました。以下の文系の記事で紹介したので、ご覧ください。

平成の阪大文系数学 2015年 - ちょぴん先生の数学部屋

以下で紹介している微分による解法よりも何十倍もスッキリした解法になりました。

 

<筆者の解答>

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 第3問

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有理数無理数に関する問題です。京大にも似たような過去問があります。

 

(1)は、教科書にも載っている基本的な問題です。背理法ですね。

 

(2) r= √2 p + 3^(1/3) q と書くことにすると、もし、pやqが0でなかった場合に、√2とか3^(1/3) が有理数で書けてしまって矛盾する、という証明方法になります。

 

<筆者の解答>

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 第4問

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体積を求める問題です。

 

(1)表記がややこしいですが、落ち着いて考えましょう。xy平面で断面を切ってあげると、半径が1となる2つの円(中心がx=±t)がダブったような図形となり、さらにそのうちxが-1以上のエリアになります。 この断面をx軸周りで回転させればV(t)となります。

t=0のときは、半径1の球の体積そのもの、t=1の時は、半径1の球1個と半分となるので、検算してみるとよいです。

 

(2)は、3次関数の最大値を考える問題となるので、微分して増減を調べればよいです。

 

<筆者の解答>

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 第5問

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マス目にルールに従って0,1 を入れていく場合の数の問題です。本セット最難問でしょう。

 

(1)は背理法で考えます。縦と横での両方で、少なくとも一か所0(あるいは1)が連続する場所があるとすると仮定して矛盾を導きます。

例えば横に00があったとすると、その2マスの上の行は11になります。さらにその上の行は00となるので、縦の行でも同じように考えると、それらがぶつかってできる4マスの数字は、矛盾を起こしてしまうか、同じ数字が3個入ってしまう状況になります。

 

(2) (1)の結果から、第1行と第1列の少なくとも一方は0と1が交互に並びます。

 

第1行が0と1交互の場合、第1列が0と1交互の場合、両方が0と1交互の場合それぞれを考えます。

例えば、第1行が0と1交互の場合に、第2行はどう入るべきかを考えることになります。考察を進めれば、この場合は、第1列の数字の入れ方を決めてしまえば、第2列以降は1通りに決まることが分かります。

 

最終的に、(第1行が0と1交互の場合) + (第1列が0と1交互の場合) - (両方が0と1交互の場合)で場合の数を計算します。

 

<筆者の解答>

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