ちょぴん先生の数学部屋

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平成の阪大理系数学 -2014年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、大阪大学の2014年の問題を取り上げます。

第1問

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O, A, B, Cの4点が同一平面上に存在する条件を求める問題です。

 

本質的に、sとtの「連立1次方程式の解の存在条件」を求めるという大学の線形代数で勉強する内容になります。

 

この連立方程式を行列の掛け算で書いた時に、もし行列に逆行列があれば(s,t)は必ず1通りの答えを持ちます。

 

問題は逆行列を持たない場合です。このときは、a~dに0が入っているか否かで細かく場合分けして議論しないといけません。

 

ここまで場合分けして一通り条件が出揃っても、それをすっきりとまとめるのが面倒です。

 

<筆者の解答>

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第2問

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関数の条件式を考察する問題です。

 

条件(ア)(イ)を読み替えてあげると、h(x)= t(e^x + 1/e^x)/2 +f(t) -1 - xの最小値が0になる

と言い換えられます。

 

よって、h(x)の最小値をtとf(t)で表現して、それが0になるようなf(t)を求めればよいことになります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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級数の整数部分を求める問題です。

 

これは、Σを積分でサンドイッチしてあげる、という方法が思い浮かべられるかが問われた問題です。 1+1/2+1/3+・・・が無限大に発散することを証明するのに頻出する手法です。

 

これさえ思いつけば、比較的さくっと証明できます。

 

この問題でわかるとおり、Σ1/√k は無限大に発散しますが、40000個足しても400に届かないくらいには、発散のスピードが遅い級数になります。

 

[2021/9/17追記]

PASSLABOさんが、この問題(の類題)を数Ⅲ禁止で解く方法を紹介されていました。

https://www.youtube.com/watch?v=bkrH5ZavCq8

確かに積分抜きで解ける方法なのですが、要所要所の不等式評価に発想が必要なので超難問に化けます。

上記動画を参考にして、本問の別解を作成しました。

 

<筆者の解答>

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[2021/9/17追記] 積分を使わない別解です。

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第4問

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球の通過領域の体積と、球の体積の合計をそれぞれ考える問題です。

この問題は空間認識能力が問われる問題です。

 

(1)問題をイメージすると、S1とS2によってできる窪みに球をできる限り詰めていくという状況になります。

 

空間のままでは考えにくいので、S1とS2の接平面で断面を切って平面の話に落とし込みましょう。すると、Tnたちは、とある半径の円の外側に外接する半径rnの円たちということになります。

 

この円がぴったりn個並べられる条件を考えましょう。(京大で似たような過去問がありました)

 

(2)は、(1)で考えた断面を回転させてできる面積を考えましょう。

 

<筆者の解答>

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第5問

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さいころの出た目の積を5で割った余りについて考える確率の問題です。

 

(1)は、要するに、Tnが5で割り切れない確率です。これは、一回も5が出ない確率と一緒です。

 

(2)合同式を使って、Tnを5で割った余りがどのように変化するかを考察しましょう。

 

(3) (2)で作った漸化式を解きます。rnという大ヒントがあるので、ありがたく使わせていただきましょう。もっとも、阪大レベルであれば、ノーヒントで漸化式を解けてほしいところですが。

 

<筆者の解答>

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