東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、名古屋大学の2012年の問題を取り上げます。
第1問
3次関数の接線に関する問題です。
(1)lとCのx=t以外の交点を求めて積分します。lとCを連立すれば、(x-t)^2という因数が必ず出てくるという事実を念頭に置くと見通しが良いです。
積分計算も、安直な展開をせずに工夫をして進められるとよいです。
(2) (1)で考えたlの式にx=2a, y=bを代入してできるtの方程式がいくつの実数解を持つのかを調べることになります。極大値と極小値の符号に着目できるとよいです。
(3) (2)から接線が2本となるbは2種類あることがわかります。そのうちの一方は、接線が原点を通って不適となります。
<筆者の解答>
第2問
積分を使った、関数の漸化式の問題です。これは計算地獄といえる難問です。。
(1)は、漸化式に代入して素直に計算しましょう。
(2)これは、あることに気付くと一瞬で解けてしまいます。
私自身最初は気付かずにg(x)などを愚直に計算して解いてしまいましたが、g(x)の式をよく見てみてください。xに-xを代入すると、g(-x)=-g(x)となるので、g(x)は奇関数です。奇関数を0を挟んで同じ区間だけ積分すると、0になります。 よって、求める積分値は0だと一瞬でわかってしまうわけです。
(3)試しにf2(x)を計算してみると、これが(一次式)×e^xの形で書けることがわかります。ここではちょっと決め打ちにはなってしまいますが、
f2n(x) = (anx + bn)*e^x と書けると仮定して、anとbnの漸化式を求めていく方針で行きます。f2n+1(x)とf2n+2(x)を計算しないといけないので、計算が非常に大変なことになりますが、結果として、仮定が正しいことがわかります。
漸化式の形から、f2n(x)の形は(1次式)×e^x+(1次式)×e^(-x)の形でかけそうなので、係数4つに関する漸化式を解いていきます。偶奇の場合分けもありかなり面倒です。初稿の答えは計算ミスがありそうだった(n=0で一致してない)ので改めて計算し直しました。これで少なくともn=0では矛盾しない結果になったのでこれで合ってると思います。
結果論、e^(-x)の項は消えたので初稿の方針は間違っていなかったようです。
<筆者の解答>
↓(3)の訂正版です。
第3問
3回引いたカードの最大値と最小値を考える、確率の問題です。
(1)は、引くカードがすべてj以上かつj+k以下となっていればよいです。
(2) jやj+kを引く回数によって場合分けして考えます。
(3) (1), (2)では、Y-X = kとなるケースをjを固定して考えていたわけです。よって、(2)の答えをjについて全部足せばよいわけです。
(4) (3)からp(s)はsの二次関数となるので、平方完成で容易に最大値がわかります。正直、奇数の場合も含めて場合分けさせたほうが手応えがありそうなのに、なぜnを偶数に絞っているのかが謎です。。
<筆者の解答>
第4問
2項定理を題材にした整数問題です。
(1)は教科書レベルです。単なる2項定理の確認問題です。(2)以降で使うわけでもないので、なぜ設問したのかよくわからない小問です。
(2)は、mod pで合同式をとればすぐにわかります。
(3)は、2項定理を使うと、p^2でくくれない項は、mpだけになるので、これがp^2で割り切れるかを確認しましょう。
(4)合同式の考え方を使うと、2^(3^r-1)が3^rで割った余りがいくつになるかを考えればよいことになります。rが小さい数の時に実験してみると、この余りが常に-1になることが予想できるので、これを帰納法で証明しましょう。
<筆者の解答>