ちょぴん先生の数学部屋

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平成の北大理系数学 -2010年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、北海道大学の2010年の問題を取り上げます。

第1問

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2本の放物線の共通接線についての問題です。

 

(1)C1の接線がC2にも接する、つまりC1の接線の式とC2の式とを連立させると重解を持つ、という条件から考えます。

 

(2)C1とC2の交点も求めて計算です。

 

<筆者の解答>

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第2問

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行列の問題です。

 

(1)与式を変形すると、A×△ =Eと書けるので△がAの逆行列になります。

 

(2) 与式がまさに、ケーリーハミルトンの定理の形をしています。

 

(3) (2)と、(1)で求めたAの逆行列の式を使います。

 

<筆者の解答>

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第3問

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漸化式の問題です。

 

(1)とりあえず実験してみよう、という設問です。

 

(2) (1)で一般項の予想ができるので、帰納法で証明しましょう。

 

(3)は少し閃きが必要です。京大の1989年の過去問に類題があります。

これを解いた経験があれば、sin(θ/2^n)をかけると、2倍角の公式が次々に出てきて最終的にsinθの式で書ける、と気づけます。

とはいえ、これを初見で思いつくのは厳しいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第4問

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(筆者注:(1)のI1は、∫te^t dt)

積分を使った絶対値付きの関数についての問題です。

 

(1)部分積分を繰り返して計算します。

 

(2)tの値によって絶対値の外れ方が変わるので、区間を分けて計算を進めましょう。(1)が使えるように、適宜変数変換も使うとよいでしょう。

 

(3) f(x)を微分すると、x=1/2のときf'(x)=0となることが分かりますが、これだけでは極大なのか極小なのかが分かりません。

 

これを知るには、f''(x)がプラスかマイナスかの情報が必要で、マイナスの時極大となります。

 

<筆者の解答>

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第5問

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3人が順番にくじを引いていく確率の問題です。

 

(1)n-1回まで外ればかり引き、n回目であたりを引く確率を計算します。階乗の割り算がバンバン出てきますので、約分に注意しましょう。

 

(2)Aがくじを引くのが3k-2回目、Bが引くのが3k-1回目、Cが引くのが3k回目なので、(1)の確率を全て足してあげればよいです。

 

<筆者の解答>

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