ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の東北大理系数学 -2007年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、東北大学の2007年の問題を取り上げます。

第1問

f:id:stchopin:20210902123131p:plain



多項式の割り算の余りに関する問題です。

 

(1)これは、x^2 ÷ (x^2-6x-12)の余りなので、瞬殺ですね。

 

(2)x^(n+1)をx^2-6x-12で割った余りを考えて漸化式を立てましょう。

 

(3) (1), (2)の結果から、求める素数が2と3だけなのではと予測できますので、5以上がNGとなることを証明します。方法としては背理法を使います。

 

もしan+1, bn+1が5以上の素数の公約数pを持つと仮定すると、漸化式を使うとanとbnもpを公約数に持つことが分かりますが、これは(1)の結果と矛盾します。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200613143142p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20210902123154p:plain



三角比を考察する問題です。易しい問題です。

 

(1)sinθ/2とcosθ/2が簡単に求まるので、2倍角の公式を使えばよいでしょう。

 

(2)sin(5π/12) = sin(7π/12) = sin(π/3+π/4)で計算できるので。sinθとsin(5π/12)の大小を比較しましょう。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200613143205p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20210902123219p:plain



n乗と対数の混じった方程式の解についての問題です。ヒラメキが要求される問題です(というか閃けば瞬殺です)。

 

(1) 方程式の左辺をf(x)とおいて、f(x)の増減を調べると、x>0で単調減少することが分かります。そして手頃なxの値、x=1, x=eを代入すると、f(1)>0, f(e)<0が分かりますので、f(x)=0の解は1<x<eの間に1つだけ存在します。

 

(2)は、ヒラメキ勝負の問題です。以下を思いつけば瞬殺、思いつかなければ撃沈という極端な問題です。

 

ひらめきポイントはただ1点、x=e^(1/n)を代入することに気付けるか、たったこれだけです。実際代入してみると、f(e^(1/n) ) <0となるので、1<xn<e^(1/n)が言えます。

 

これではさみうちを使えばxnが1に収束することが証明できます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200613143226p:plain

 

第4問

f:id:stchopin:20210902123242p:plain



正方形が切り取る線分の長さについての問題です。はっきりいってこの問題は地雷枠です。捨て問というほどではないですが、最後まで後回しにすることを強く推奨します。

 

(1) (1,2)を通る直線の傾きによって場合分けして考えます。対称性から傾きがプラスのものだけ考えれば十分です。そのうえで、lをそれぞれ計算し、増減を考えていきます。

 

最後の直線の式を答える場面ですが、傾きがマイナスのものを忘れがちなので要注意です。

 

(2) (1)の考察から、最小値の候補は4か、傾きが2の3乗根となるときのlになりますので、両者の大小比較が必要になります。2の3乗根の近似値なんて普段考えないので、その場でひねり出す必要があります。

 

手頃な立方数を使うと、2>125/64となるので、2の3乗根>5/4と評価できます。これを試験場で思いつくのは難しいでしょう。。。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200613143247p:plain

f:id:stchopin:20200613143329p:plain

 

第5問

f:id:stchopin:20210902123303p:plain



円柱の側面だけを回転してできる立体の体積を計算する問題です。

 

Aが、円柱の「側面だけ」ということに注意して、テンプレ通りに平面x=tで切った時の断面を考えることになります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200613143348p:plain

 

第6問

f:id:stchopin:20210902123324p:plain



積分の極限を考える問題です。

 

(1)Io(a)自体を直接計算できるので、これは容易いでしょう。

 

(2)In(a)を、部分積分を使って計算していきます。

 

(3)は難しめです。

求める極限の関数をJn(a)として、はさみうちの定理に持ち込むことを目標にします。

 

このとき、不等式を用意する必要があるので、In(a)を大小挟みましょう。

 

In(a)の中身が、x^n < x^√(1+x) <x^n√(1+a) とできるので、In(a),Jn(a)の評価式が出来上がります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200613143412p:plain