ちょぴん先生の数学部屋

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平成の九大理系数学 -1998年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、九州大学の1998年の問題を取り上げます。

第1問

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関数に関する諸々の性質を調べる問題です。(4)が発想の要る難問です。

 

(1)典型的な周期関数は、三角関数ですね。

 

(2)F'(x)の符号を調べましょう。

 

(3) 条件Aを使って計算します。

 

(4)

(ⅰ)f(c)=C(≧0)とおいて、A,Bを適用してみましょう。

(ⅱ) (ⅰ)よりf(x)は0以下となります。このときのF(x)について考察しましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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正12角形の頂点3つでできる三角形に関する問題です。

 

(1)頂点の1つをAに固定すれば、正三角形は1通りに決まります。その後、頂点の選び方を考えます。

 

(2) (1)と同様に考えますが、対称性を考慮すると、正三角形でない2等辺三角形の個数を考えたほうが重複・漏れなく数えられます。

 

(3)円周角の定理から、斜辺は必ず直径になることに着目しましょう。

 

(4)各頂点と中心を結んでできる角度の組み合わせを考えれば、それが合同でないものの個数になります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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パラメータ表示された曲線の長さ、面積を求める問題です。

 

(1)公式に当てはめて積分計算します。

 

(2)  (1)からCの接線の傾きが分かるので、法線の式を求めることができます。そこから、考える点Qの座標を図形的に求めるとよいでしょう。

 

(3)部分積分を使う典型的な計算問題です。

 

(4)Cの概形を描いて面積計算しましょう。

 

<筆者の解答>

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第4問(a)

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不等式証明の問題です。

 

(1)はf(x)=x/(1+x)が単調増加になることを示せばOKです。

 

(2)は、(1)を使えそうで使えない形なので、別個に考えます。

色々方策を考えましたが、左辺ー右辺をごり押しで計算する以外にうまくいかなかったので、それで証明しました。。。

途中で、三角不等式、|x+y+z|≦ |x|+|y|+|z|を使います。

 

あとは、出てきた等号成立条件を簡単にしていきましょう。

 

<筆者の解答>

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第4問(b)

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ピラミッド状に敷き詰めるタイルの数、積み上げるブロックの個数を求める問題です。

 

(1)は、公式証明です。この手のΣは、(k+1)^3 - k^3の和をとるとうまく証明できます。

 

(2)一番下のタイルの枚数の規則性に注目しましょう。

 

(3)上からk段目の1辺の長さが2k-1となるので、(2)の結果を使えます。

 

<筆者の解答>

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第4問(c)

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辺の長さの比を求める問題です。

 

(1)(2)通じて、メネラウスの定理、チェバの定理、方べきの定理といった、初等幾何の定理のオンパレードとなります。

 

<筆者の解答>

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第5問(a)

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正四面体におけるベクトルの問題です。

 

(1)は、問題文通りに各ベクトルを計算し、PQとRSの内積を計算すればよいです。

 

(2)Gの存在を最初から想定して、Gの式を求めていきましょう。その過程で、同一平面上にある条件も求まります。

 

そうすれば、あとはGA=GB=GC=GOを示しましょう。

 

<筆者の解答>

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第5問(b)

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3次方程式の解を複素数平面上にプロットする問題です。

 

まず、方程式の解の一つが、kによらず1になることが分かるので、残り2つの解について考察することになります。

 

(1)一直線上にになるのは、1以外の2つの解が、「両方実数」「実部が1の虚数」の2通りです。

 

(2)正三角形になるような解の配置は、実軸対称なことに注意すると2パターンしかありません。

[訂正] 正しくは直角三角形です。実軸対称なことから、必ず直角2等辺三角形になります。

 

(3) |w|=|z|=1となることが必要なので、kの候補が絞られます。

そのそれぞれに対して、何度回転させて上下反転すれば正6角形になるかを図形的に考えましょう。

 

<筆者の解答>

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[訂正] (2)を正三角形と勘違いしていたので、解きなおしました。

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第5問(c)

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整数と2次関数の融合問題です。

 

(1)2次関数がx軸に接するとき、b^2 -4ac=0となるので、これを満たす(a,b,c)を列挙しましょう。その中から、Nが平方数になるものを見つけてくればOKです。

 

(2)N,aが平方数だけど、b^2 -4ac=0とならないケースを見つけてきましょう。

 

(3) 2次関数のx軸との交点をm,nとして面積を計算しましょう。m,nの条件に制限ができるので、個別に考えていきましょう。

 

<筆者の解答>

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第5問(d)

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2円が交わる条件と、放物線の焦点の軌跡を考える問題です。(2)の後半(ⅱ)が難問です。

 

(1)は図に描けば簡単に求まります。正直(2)との繋がりがよく分かりませんでした。。

 

(2)

(ⅰ)焦点からの距離と、準線からの距離が等しい点の軌跡が放物線となるので、焦点の座標を文字で置いて処理していきます。

 

(ⅱ)実質的にCの通過領域を求める問題です。(ⅰ)の結果を使って焦点の座標をパラメータ表示すると、Cの式が決まります。その後通過領域を求めるのですが、sinθとcosθの混じった非常に厄介な式となっています。

 

何とかして、変数を1つに統一しないと、二進も三進もいきません。私の場合は、積分でよく使うテクニック、tanθ/2 = T と置換する方法でなんとか進めました。。。

 

これを行ってもなお式が複雑で処理するのが非常に大変です。(答え合わせできていないので、間違っているかもしれません。ミスってたらすみません。。)

 

<筆者の解答>

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