東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、北海道大学の1997年の問題を取り上げます。
第1問
(筆者注 anの分母は、誤3 正c)
ガウス記号で書かれた数列に関する問題です。一般に、実数aについて、
[a] ≦a< [a]+1が成立することを利用します。
(1)上の不等式を直接使って、anを上下で挟んであげましょう。
(2) [an] = n となる条件は、ncが整数となることです。
cが有理数だったら、cの分母を約分できるようにnを選んでくればよいわけです。
(3)cが無理数の時、ncが整数になりえないことを背理法で証明します。
<筆者の解答>
第2問
放物線の有名な性質を証明する問題です。
この問題で示す事項は、「放物線に侵入してきた光線が放物線で反射するとき、反射光は必ず焦点を通る」という事実で、この性質は、パラボラアンテナに応用されています。アンテナの面形状を放物線(パラボラ)にして、受信機を焦点の位置に持ってくることで、キャッチした電波を隈なく受信できるようにするわけです。この問題では、その中で光線が軸平行な特別な場合について証明します。
(1)放物線の定義に従ってCの式を作って、接線とFを通る直線の両方を立式して、最終的にtanの加法定理に持ち込みます。
(2)問題文の意図は、(1)の具体例を考えよ、つまり、反射した光線がちゃんと焦点を通ることを確かめてください、という問題です。
加法定理を駆使して、反射光の式を作って、それがaによらず成立するようなx,yが存在することを示します。(1)の結果から、定点は焦点になりそうなので、x=√2を代入してみましょう。
<筆者の解答>
第3問
漸化式を解いて、一般項の比の極限を調べる問題です。
漸化式を解く際に、ーp^-nという部分が邪魔なので、両辺にp^n+1をかけてただの定数にしてしまいましょう。
(1) p=±1の時は、等差数列に帰着します。
(2) (1)でない場合は、特性方程式を解いて等比数列に帰着させます。
(3)pの値によって場合分けが発生します。特に|p|と1との大小関係が肝です。
<筆者の解答>
第4問
関数の極値と面積を計算する問題です。
(1)微分して増減を調べればよいのですが、aの正負によって、極小になるか極大になるかが入れ替わります。
(2) (1)で求まったbを図示して面積計算です。
<筆者の解答>
第5問(a)
複素数の方程式の問題です。(2)がヒラメキが必要で難しいでしょう。
(1)は具体的に代入してチェックすればよいでしょう。
(2)は、何とかして(1)を利用したいですが、そのままではうまくいきません。そこで、z0' = i (α* - β)という新しい複素数を準備すると、βを-βに置き換えることで(1)を利用できる形にできます。
(3) (1)を利用すれば、z2 = z1-z0も方程式の解となっています。
<筆者の解答>
第5問(b)
サイコロの出た目の積に関する確率の問題です。
(1)さえできていれば、(2)(3)は簡単です。
(1)は、4で割り切れない場合の方がレアケースなので、そちらを数えましょう。
(2)も、1回以下しか発生しない確率ほうが計算しやすいですね。
(3)期待値の定義通りに計算すれば、二項定理に帰着できます。
<筆者の解答>