ちょぴん先生の数学部屋

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平成の阪大理系数学 -1997年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、大阪大学の1997年の問題を取り上げます。

第1問

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格子点間を移動する点に関する確率の問題です。

 

(1)AがBの3倍速く動くことに注意して、1秒後の点の位置の候補、2秒後の点の位置の候補を実際に書き出してみましょう。(Bの速さを1として考えています)

 

すると、AとBは格子点ではぶつからず、特定の辺の途中でぶつかることが分かるので、それを特定してあげましょう。

 

(2) (1)の各衝突点について、AとBの進み方をリストアップしましょう。対称性から、p→1-pの置き換えだけで済む組み合わせが存在します。

 

(3)大小関係を一個一個総当たりで検討します。

 

<筆者の解答>

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第2問

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直線に関する対称移動や回転移動について考える問題です。

 

問題文の設定が抽象的で考えづらいので、うまく座標軸を設定して考えたいです。

 

lに関する回転、lに対する対称移動と、lの登場頻度が高いので、lを極力シンプルにしたいわけです。

というわけで、lをx軸、Bを原点、Aをy軸上としてしまうのが最も効率の良い座標設定の仕方になります。

 

このような座標設定さえできてしまえば対称移動と回転移動が簡単に表現できるので、処理が楽になります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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楕円と双曲線の接線に関する問題です。

 

(1)P(s,t)を使ってQの座標を求め、双曲線のPでの接線と、Qでの楕円の接線の傾きを出して、直交する条件を処理します。とはいえ、計算が長く面倒です。

 

(2) (1)の結果を利用して、A, Bの座標をa,b,cを使って表現しましょう。

 

(3) Rの座標を具体的に計算してみると、y座標がbcとなります。よって、

b^2+c^2 = 1 - k^2のもとでbcを最大化する問題に帰着します。円と双曲線が交点を持つ条件として処理が可能でしょう。

 

<筆者の解答>

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第4問

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指数関数の接線の本数を調べる問題で、本セット最易問です。

 

x=tにおける接線がPを通るとしてできるtの方程式がもつ実数解の個数がn(a)となりますので、tの方程式左辺の増減をチェックしてグラフを描けば終了です。

 

<筆者の解答>

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第5問

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パラメータ表示された曲線の概形を調べて回転体の体積を求める問題です。それと便座カバー。

 

(1)周期性から-π<θ≦πだけ考えれば十分です。この下で、f(θ)の正負を調べましょう。それと便座カバー。

 

(2)x, yを微分して増減を調べることで、Cの概形が便座カバーのような形になることが分かります。このグラフから、y=tとCが交点を持つ条件が求まります。また、交点の座標は、θを消去すれば求まります。それと便座カバー。

 

(3)対称性から、y≧0の部分だけ計算すれば十分です。y軸周りに回転すると、Cの外側の部分の回転体から、Cの内側の部分の回転体がくり抜かれる形になります。Cの外側部分と内側部分のxの式は(2)で求まっているので、それを利用して、体積を計算しましょう。それと便座カバー。

 

<筆者の解答>

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