東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、九州大学の1997年の問題を取り上げます。
第1問
パラメータ表示された点の移動について考える問題です。
(1)x,yをtで微分することで「速度ベクトル」、速度ベクトルの大きさを求めると「速さ」が求まります。
(2)速さを時間で微分したものが道のりになります。
(3)Cの概形を描いて積分計算しましょう。
<筆者の解答>
第2問
積分で書かれた関数についての問題です。
(1) g(x)を具体的に計算してみましょう。積分区間の端部が等しくなるのでg(0)=m>0となります。また、x=1とすると、積分の中身が負になります。g'(x)も簡単に計算できます。
(2) (1)の結果から、g(x)=0の解が0と1の間に必ず存在します。ここで、g(x)の式をよく眺めると、g(x)の符号とf(x) - xの符号が一致することが分かります。
(3) f'(x)を実際に計算してみるとf(x)-xが登場します。
<筆者の解答>
第3問(a)
この年は、なんと第3問まで選択問題になっています。。恐ろしい。
この問題は、数列の和を扱った整数問題です。
(1)は、順番に探しましょう。
(2)は、数学的帰納法で証明できます。
(3)Snの差を取ってあげると、Sn - Sn-1 = 2^n - 4n^2 となり(2)が利用できます。
<筆者の解答>
第3問(b)
命題の真偽を判定する問題です。こういう問題はたまに出ては受験生を苦しめますね。。
(1) 与えられた不等式をひたすら同値変形しましょう。
(2)一見正しそうに見えます。しかし、それはあくまで2次関数の場合です。ここで、ax^2+bx+cがもし2次関数じゃなかったら・・・
(3)2次方程式が有理数解を持つ条件は、9-4aが平方数となることです。aが奇数の時に平方数になりえるのかを調べてみましょう。
<筆者の解答>
第3問(c)
角の二等分線、垂直二等分線の性質を証明する問題です。純粋な初等幾何の問題です。
(1)直角三角形の合同条件を思い出しましょう。
(2)円周角の定理などを使いながら、等しい角度を次々に決めていきましょう。(こればかりは文字で書くより、実際に図を見たほうが早いでしょう)
<筆者の解答>
第4問(a)
四面体の体積比を考える問題です。
(1)各ベクトルの係数の和が0より大きく1未満になることが四面体内部にある条件です。
(2)三角形の面積比を求める方法と全く同様です。
(3)同一平面上にある条件は、各係数の和が1になることです。
(4) (3)を使ってV'/Vを一文字で表現して増減を調べましょう。
<筆者の解答>
第4問(b)
複素数平面の問題です。
(1)zの満たすべき条件を立式して、ひたすら計算します。
(2)も(1)と同様です。最終結果に(1)の状況を代入して一致するかも確認しましょう。
(3) (2)の結果が円になるので、中心の実部の絶対値が半径に一致すれば虚軸に接します。
<筆者の解答>
第4問(c)
確率の問題です。
一個の袋から金カードを取り出す確率が1/nと簡単に分かるので、最初の段階で
P(Xn = k)が求まってしまいます。
(1)n=4, k=2,3を代入するだけです。
(2)定義通りに期待値を計算するだけです。
(3)k=3を代入しましょう。
(4)極限では、ネイピア数eが登場します。
<筆者の解答>
第5問(a)
連立方程式を解く問題です。計算ミスを絶対しない自信がある人以外は手を出さないほうが良い地雷問題です。
(1)は簡単です。a≠0ならば解はただ1つあり、a=0の場合はbの値によって無数にあるか全くないかに分かれます。
(2)以降は3元1次連立方程式をひたすら解く作業になります。
連立方程式を解く代表的なアルゴリズムとして、「行基本変形」というものがあります。ある式を掛け算して、ある式に足し算したり引き算したり、といった作業の数学用語になります。
この行基本変形によって、係数の行列を単位行列にすることがゴールになります。
きちんと単位行列にできれば、ただ1つの解を持ち、できなければ解が無数にあるか全くないかに2択になります。
行基本変形を繰り返していくうちに、単位行列にするのに障害になるaの値がいくつか求まることになります。
(3)(4)では、上で上がった特殊なaの値について個別にチェックします。
とにかく計算ミスが頻発しやすい問題ですので、相当注意深く計算しないといけません(筆者自身、3回も計算ミスを犯し、泣きそうになりました。。。)
<筆者の解答>
第5問(b)
双曲線にまつわる問題です。
(1)接線と言っているので、連立して重解を持つ条件を考えましょう。
(2)H, H'の座標を実際に求めて、OHとOH'を計算してみましょう。
(3)図に描くとHH'の長さが三平方の定理で簡単に求まるので、面積がtの式で簡単に求まります。
<筆者の解答>
第5問(c)
2の3乗根の近似値を求める問題です。問題文にある一連の式は、「ニュートン法」と呼ばれるアルゴリズムで、方程式を数値的に解くのに使われるごく一般的な方法になります。
(1)数学的帰納法によりan+1<anが証明できます。c^(1/3)との大小関係は、g(x)の増減を調べることで分かります。
(2)an+1 -c^(1/3)を具体的に計算して、無理やり (an - c^(1/3) )^2を抜き出してみましょう。
(3) (2)の不等式を何回も使ってみましょう。
<筆者の解答>