東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、九州大学の1995年の問題を取り上げます。
第1問
小問集合です。
(1)は、対称行列の有名な性質を証明する問題です。y=αx上の点がy=αx上に移る、同様にy=βx上の点がy=βx上に移るという条件を処理すると、最終的に2次方程式の解と係数の関係を考えることに帰着します。
この問題は、「対称行列の1次独立な固有ベクトルは必ず直交する」という有名な性質を証明する問題となっています。※固有ベクトル:行列をかけても方向の変わらないベクトルのこと
(2)整数問題です。
まず、l=1は明らかにNGなので、l≧2で確定です。このもとで、mn>m^nつまり、
n>m^n-1となるm,nを探すわけですが、実はm≧2だとNGになることが帰納法により証明できます。
<筆者の解答>
第2問
空間図形の問題です。
(1)直線PA,PB,PCをベクトルで表現してz成分が0になる条件を考えます。
(2)A'B'=B'C'=C'A'となる条件を考えればよいです。
(3)Qを(0, cosθ, 2-sinθ)(0≦θ≦π)と表現できるので、Q'の座標をθの式で表現しましょう。
そして、θを消去すれば軌跡が求まりますが、x座標の動く範囲をちゃんと調べておきましょう。
<筆者の解答>
第3問
領域の面積と格子点数を考える問題です。
(1)図に描いてみると、Anに登場する格子点はx=0, x=1, x=2の3つの直線上のものだけです。x=0,2上にあるものは1点ずつしかないので、Tnは実質x=1上にある格子点を数えることに帰着します。Snの方は典型的な積分計算で求まります。
(2) [a]≦a<[a]+1 を使って、はさみうちに持ち込みましょう。
<筆者の解答>
第4問
微分方程式の問題です。
(1)問題文に従ってy切片の式を求めましょう。
(2) (1)の微分方程式を解きます。
(3) f(x)を微分して増減を調べましょう。
<筆者の解答>
第5問
確率の問題です。
(1)2回の操作で袋の中の玉の状態がどう変化するかを丹念にまとめていきましょう。
(2) (1)で調べた推移図から、途中の状態を省けば漸化式を立てられます。
(3) (2)の漸化式を解きましょう。
今回、pn, qn, rn, snの合計は1にならなくて不安になりますが、安心してください。pn~snはあくまで、「2n回まで続いたとき」という条件付確率になっています。
<筆者の解答>