ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋数学 2002年

文系数学の最難関、一橋大学の2002年の問題を取り上げます。

第1問

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整数問題です。

 

3つの数の合計が25/16になることは言うまでもありませんが、「三角形の3辺」と言っている以上は、三角形として成り立っていないといけません。例えば、辺の長さが1,2,3という三角形は存在しえませんね。そんな「三角形の成立条件」から3本の不等式が成り立ちます。

 

ここで、xとyは対称な関係なのでx≦yとしても一般性を失わず、辺の長さを小さい順に並べることができます。

 

この大小関係から、先の3本の不等式のうち2本は自動的に成り立ってしまうことが分かるので、残り1本の条件を使ってk,x,yを絞り込んでいきましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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複素数の条件についての問題です。

 

問題文の意味は、「α+1/αの虚部がθによらず絶対値2以下」 ということになります。よって、α+1/αの虚部を計算して、rを固定したときに取りうる値の範囲を調べましょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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座標平面上の直角三角形についての問題です。

 

(1) 角度の情報を内積や辺の長さの比を使って処理すると、2本のa,b,cの関係式ができます。それを連立して考えましょう。どの文字を消去すべきかもよくよく考える必要があります。

cがバチっと決まるか不安になりますが、きっちりと求まります。

 

(2) cが具体的に求まれば、a,bの関係式が2本求まりますが、片方が成立すればもう一本は自動的に成立するので、実質1本です(線分になります)。

 

この条件下で、AB=√(a^2 + b^2) の取りうる値を考えるわけですが、これは原点中心の円と、先ほどの線分とが交点を持つ条件と言い換えられます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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円錐の表面積と体積を計算する問題です。

 

題意を満たす円錐の底面半径をr、高さをhとしてrとhの関係式を求めます。その上で(1)では表面積、(2)では体積をr,hで表しましょう。

 

(1)表面積の計算には展開図を使うとよいでしょう。表面積の式は、rを消去するとhの分数関数になります。文系範囲なので、相加相乗平均の関係が使えないか考えてみましょう。

 

(2)体積の方もhの分数関数となります。こちらはhを分母に集めてしまうと、分母に3次関数が出現します。

 

<筆者の解答>

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第5問

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確率の問題です。

 

コインの枚数の状態は、3枚、2枚、1枚, 0枚の4つです。0枚になった時点で終了なのでこれは考えなくてよく、n回後に3枚、2枚、1枚となっている確率をan, bn, cnとして漸化式を立てて考えましょう。

 

(1) n=1,2のときは直接状況を考えて計算で良いでしょう。

 

(2)an, bn, cnの一般項を求めましょう。するとqn= an-1 +bn-1 +cn-1 で求まります。

cnを計算するのに苦労するかもしれません。

 

<筆者の解答>

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