ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慶応理工数学 2014年

私立最難関の一角、慶應義塾大学理工学部の問題を取り上げます。今回は2014年の問題です。

第1問

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小問集合です。

 

(1)式の値を計算する問題で、実質「次数下げ」をする問題です。αは、

x^3 +1 = (x+1) (x^2-x +1) =0の虚数解なので、α^2 -α+1 =0が成り立っています。これを使うことで、αの2次式を1次式に変えることが出来る、そんな問題ですね。

 

(2) 角度と対辺の情報があるので、正弦定理を使えばよいでしょう。

 

(3)ケーリーハミルトンの定理を使って、X^nとY^nの一般式を求めることができるので、その結果を代入します。

 

(4)放物線と円の交点の個数についての問題で、両者を連立するとxの4次方程式となります。とはいえ、全部x^2の式で書けるので実質2次方程式です。こうしてできた2次方程式が正の解を1つだけ持つ条件を考えれば、それが4次方程式が2つの解を持つ条件となります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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確率の問題です。

 

(1) 2回投げたときの得点それぞれについて確率を計算しましょう。期待値を計算する分には、0点になる確率はムダ情報なのでスルーして時間を節約します。

 

(2)これは余事象「1点以下になる確率」の方が数えやすいです。なぜなら6が出れば途中経過によらず得点がリセットされるので、最後の方の出方だけ考えればよくなるためです。

 

(3)4回中、最後に6が出るのが何回目かで場合分けしましょう。

 

(4)得点が奇数になる確率をqn, 得点が0になる確率をrnとして漸化式を立てるとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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一般項の計算できない数列の極限に関する問題です。

 

(1) f(x) = x- log(1+x)とおいてf(x)の増減を調べます。

 

(2)数学的帰納法を使って証明します。

 

(3) (4)を解くための準備となる設問です。この手の不等式は、logxが上に凸なことを使って図形的に考えるとうまくいくことが多いです。具体的には、a~bでのlogxの変化の割合と、x=aでのlogxの接線の傾きを大小比較します。

 

(4) (3)の式を利用すれば不等式が求まり、はさみうちの定理で極限が求まります。

 

<筆者の解答>

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第4問

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立体の体積を求める問題です。

 

まず四面体をz=tで切った時の断面を考えると、z=tがAより下にあるか上にあるかで断面形状が大きく変わるので、そこが場合分けの境目になります。各々に対して、断面の形を調べて面積を計算します。

 

あとは、f(z)をz=tからz=t+2まで積分すれば体積g(t)が求まるので、これを微分すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第5問

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曲線の式を求めて、面積を計算する問題です。

 

まず(ト)を計算するところまでですが、

接線の式を計算してx切片とy切片を求めます。x切片とy切片の間の距離が1で一定という条件を使うと、[ h(θ)/ sinθ]^2 =1という関係式が求まります。ここで2乗を外したいのですが、この時点ではまだ±の2通り考えられてしまいます。

ここで、接線の傾きが常に負だったことに注意すると、もしh(θ)<0だと接線が第1象限を通らず、「曲線の両端が(1,0), (0,1)」という条件に反します。

よって、h(θ)≧0に決まって、2乗が1通りに外れます。

 

(ト)が求まれば、これをfとgの式に戻して微分することでfとgの式が求まり、Cの式が確定します。

 

ここから先の法線の計算、面積の計算は公式通り実行すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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