ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

21世紀の慶応医学部数学 2018年

私立最難関の一角、慶應義塾大学の医学部の問題を取り上げます。今回は2018年の問題です。

第1問

f:id:stchopin:20200927160804p:plain

f:id:stchopin:20200927160824p:plain

f:id:stchopin:20200927160844p:plain

小問集合です。

 

(1) 問題文の表現が難しいですが、要は対数の不等式を解いて、その解が全てx<4に収まるようなaの条件を求めればよいです。対数の不等式には、底が違う対数が混じっているので、底をaに揃えてあげましょう。

 

(2)ベクトルを使った関数の最小値を求める問題です。与えられた関係式を使ってa,b,cの内積をそれぞれ計算して |a+b+tc|を簡単にしていきます。

 

(3)2色の玉を円上に並べる場合の数を調べる問題です。この小問が飛びぬけて難しいと思います。

n=1の時は、具体的に絵を描いてしまえばよいので簡単です。

n=2の時は、予め黒玉4個を円上に並べて、それぞれの玉の隙間にどう白玉を入れるかを数えます。それぞれの隙間にa~d個玉が入るとするとa+b+c+d=4となるので、これを満たす0以上の整数の組み合わせを数えればよいのですが、1ペアだけ回転するとダブってしまう組み合わせが発生してしまいます。

n=3の時も、n=2の場合と基本的に考え方は同じなのですが、n=2の時以上に重複具合を調べるのが面倒になります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200928062413p:plain

f:id:stchopin:20200928062436p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20200927160910p:plain

f:id:stchopin:20200927160936p:plain

確率の問題です。

 

(1) (あ)については、Bに3枚ある時に引いたカードが一致しない確率を考えればよいです。(い)(う)については、Bに3枚ある状態で引いたカードが一致する場合と、Bに2枚ある状態で引いたカードが一致しない場合の2パターンがあることから漸化式を作ります。

 

(2) (あ)の漸化式は等比数列なので、簡単に一般項が求まります。n=kとしたときの極限は、ネイピア数eの定義を使って計算します。

 

(3) (2)の結果を使って漸化式(い)(う)を解きます。定数項の部分に等比数列が登場しているので、その等比数列で割り算するとうまくいきます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200928062505p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20200927161011p:plain

f:id:stchopin:20200927161034p:plain

三角関数の計算問題です。

 

(1)

(あ)~(う)について

sinの積をsinの和に変える問題です。問題文にsin6xがあるので、sin3x, cos3xをできるだけ作れるように変形したいです。ということでsinxsin2xを和の形に書き換えるとcos3xが登場し見通しがよさそうです。さらに積和の公式を繰り返します。

(え)について

f(p)=0を解こうとすると、元々の積の形の方が都合が良いです。sinx=0, sin2x=0, sin3x=0の解を列挙して最小のものを探せばよいでしょう。面積計算の場面で(あ)~(う)でやった式変形が効果を発揮します。

 

(2) g(x)の式をできるだけ和の形に分解します。さらにx=π/7での値を計算したいので、sin. cosの中身が7xとなるように式変形するとやりやすくなります。

 

(3)

(け)について

Cの形はAを2乗すると出現させることができるので、これをヒントに求めていきます。

(こ)(さ)について

zは1乗の7乗根の1つになっていることが分かるので、z^7 -1 = 0が成立します。左辺を因数分解すると、z-1≠0なので(こ)が手に入ります。(さ)については、cosをすべてzの式で書けば、結局(こ)の形に帰着します。

(し)(す)について

(2)の結果を使うとC=0, (さ)からB=-1/2が分かるので、A^2を求めることができます。

Aの符号については、sinπ/7 - sin2π/7をひとまとめで考えると、負の数から正の数を引いた形になるので負で確定です。ここまでの知識を使うとf(π/7)はAを使って書けることが分かります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200928062530p:plain

f:id:stchopin:20200928062548p:plain




第4問

f:id:stchopin:20200927161144p:plain

f:id:stchopin:20200927161205p:plain

パラメータ表示された曲線と、それを回転させたときの点の軌跡を考える問題です。試験場では(4)までが精一杯だと思います。(5)以降は捨ててしまっても問題ないと思います。

 

(1) 

(あ)(い)について

まずはx,yをθで微分するのが第一でしょう。そこからdy/dxが求まり、x軸で接する条件は、yとdy/dxが同時に0になることです。そのようなθを求めます。

(う)~(か)について

dx/dθ, dy/dθをつかってx,yの増減を調べれば求まります。

 

(2) 凹凸を調べるにはyをxで2回微分したものが必要になるので、変数変換を使って計算します。

 

(3) dx/dθ, dy/dθをつかって公式通りに積分計算します。

 

(4) 接線ltの式を出せばQtの座標が簡単に求まります。なす角については、PtQtベクトルを計算して、y成分÷x成分をすれば求められます。

 

(5)この問題最大の鬼門です。。。P0の移動先をRt, Ptの移動先をPt'として、△P0QtPtがどう回転するかを考えます。すると、Pt'Rtベクトルが、P0Ptベクトルをπ-t/2だけ回転したものだと分かります((4)の結果も使ってます)。

そうと分かれば、回転行列を使ってa(t), b(t)を計算することができます。

 

(6) (5)ができていれば、αも簡単に求まるので面積は典型的な積分計算で行けます。典型的と言ってもt^2×costの積分が要求されるので決して易しくはないですが。。。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200928062612p:plain

f:id:stchopin:20200928062633p:plain

f:id:stchopin:20200928062650p:plain