ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東工大数学 2014年

理系数学の最難関の一角、東京工業大学の2014年の問題を取り上げます。

第1問

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整数問題です。

 

(1) anについては、「連続する3つの整数の積は必ず6の倍数になる」という事実を知っていれば整数になることは明らかです。もちろん、Σを計算して6で割った余りを愚直に調べるのもアリですが、Σ計算の結果が「連続する4つの整数の積÷24」となっており、「連続する4つの整数の積が4!=24で割り切れる」を知っていれば、これまた瞬殺です。

bnについては、n=2m+1を代入すると、「連続する2つの整数の積÷2」になるので、これも整数になることが明らかです。

 

いずれの問題も、「連続するn個の整数の積がn!で割り切れる」という性質を知っているとすぐに解ける問題でした。

 

(2) an -bn の式を因数分解した式で求め、ここでも「連続するn個の整数の積がn!で割り切れる」を使います。

 

<筆者の解答>

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第2問

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不等式が常に成り立つ定数の範囲を求める問題です。

 

f(t) = (e^t -1)/t - e^(1/a) とおいて、f(t)の増減を考えることになります。その時にf'(t)が符号変化する瞬間があるかないかがaの値によって変わるので、場合分けが発生することになります。(1)の設問が、その場合分けのヒントになります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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1次変換を絡めた確率漸化式の問題です。

 

(1)最初から漸化式を立てて考えてしまいましょう。

まずは、A,B,Cを掛け算してみて調べると、登場する点が(1,0), (-1,0), (0,1), (0, -1)の4つしかないことが分かるので、4点間の移動の仕方を図にまとめましょう。

( (1,0)にいる確率をsn, (-1,0)にいる確率をtnと新しく定義します)

といいますか、A,B,Cの行列をよくみると、

A: 時計回りに90°回転

B: 反時計回りに90°回転

C: y軸対称に反転

を表す1次変換であることが分かったりします。

これらをベースに漸化式を立ててしまいましょう。

 

(2) pn + qn + sn +tn = 1を利用すればsn , tn を消すことができるので、(1)の漸化式を使って求めます。

 

(3) (2)で作った漸化式を解けばよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第4問

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45°回転した放物線についての問題です。

 

(1) 45°の回転行列をかけるだけの簡単な問題です。

 

(2) Cが直線y=aと接するとき、y=aとなるtが1個だけとなります。

 

(3) dx/dt, dy/dt を使ってCの概形を描いて積分計算します。x=5/8(Cが極小値を取る点)の左側と右側で分けて計算を進める必要があります。

 

<筆者の解答>

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第5問

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曲線の接線を次々に作っていく問題です。

 

(1) P0での接線を計算してP1を計算するのが第1歩で、面積の計算は、「1/6公式」と同様の工夫をするとよいでしょう。

 

(2) 問題文のルールに従ってPk-1での接線を計算し、Pkを求めます。

 

(3) (1)と同様にSkを計算すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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