理系数学の最難関の一角、東京工業大学の2013年の問題を取り上げます。
第1問
小問集合です。
(1)2次方程式の解を使った数列の問題です。
解と係数の関係を使うとα+β=3, αβ=5 がわかるので、これを利用して、α^n+β^nの漸化式、α^n+β^n- 3^nの漸化式を作るとよいでしょう。この漸化式をベースに数学的帰納法で証明することができます。
(2) 6つのサイコロが4種類の目を出す確率を計算する問題で、分母は6^6と簡単に分かるので、実質4種類の目の出方を数える問題です。
このようなサイコロの出方は、
・(A, A, A, B, C, D)のタイプ
・(A, A, B, B, C, D)のタイプ
の2種類があるので、それぞれ検討します。両者とも、A~Dの選び方が15通りあり、
前者ではAのみ特別扱い、後者ではA, Bを特別扱いして考え、サイコロの番号との対応を考える必要があるので、並び替えが何通りあるかの考慮も必要です。
<筆者の解答>
第2問
行列の問題です。
(1)は基本的な行列式の性質です。ABを素直に計算して確かめましょう。
(2) (1)の結果からΔ(A) = 1はすぐに分かります。t(A)の方は、ケーリーハミルトンの定理を使ってA^5を次数下げしてAの1次式にして考えます。AがEの定数倍になっているかそうでないかで場合分けが発生します。
<筆者の解答>
第3問
方程式の解の個数を調べる問題です。一見すると典型問題ですが、関数の増減を考えるのが意外に大変です。
f(x) = e^x - x^eとおいてy=f(x)のグラフを調べればよいのですが、f'(x)を計算してもf'(x)=0となるxが簡単に求まりません。eで括ってあげると、結局e^(x-1) と x^(e-1)の大小関係を知る必要があると分かります。
このままだとうまく調べられないので、それぞれに対数を取ったx-1と(e-1)logx との大小関係を調べるとよいでしょう。
y=f(x)のグラフさえかけてしまえば、あとはy=kとの交点の個数を数えてお終いです。
<筆者の解答>
第4問
この問題の肝は、いかにしてsin4nx≧sinxを解くかです。方針を間違えると泥沼にはまってしまいます。。
多くの場合、この手の不等式はsin4nx-sinxを和積の公式を使って積の形に変えて解くのですが、今回は cos≧0かつsin≧0の場合と、cos≦0かつsin≧0の場合の両方を考える必要があり、かつ2つの積の周期が違う上に文字が混じっているので、収拾がつかなくなってしまいます。最初この解法を選択して絶望してしまいました。。
こういう状況なので、今回は単位円を使って図形的に解くのがよいです。ラッキーなことに0<x<π/2というxの範囲が最も基本的で考えやすい形をしているので、単位円を使うには打ってつけです。
単位円を使うと不等式が解けるので、各区間長を求めてΣ計算してお終いです。
<筆者の解答>
第5問
円が楕円に内接する状況を考える問題です。
(1)「円と楕円が接している」だけなら、C1とC2を連立した方程式が重解を持つ条件で求めることができますが、それだと外接なのか内接なのかが分かりません。
きっちり「内接」を表現するためには、次のように問題を言い換えてあげるとよいでしょう。
「C1上の任意の点が、C2の内側にあり、かつC2上にもあるような点が存在する条件を求めよ」
具体的には、C1上の点(a+acosθ, asinθ)について、どんなθについてもC2の内側にあってかつ等号成立するθが存在するa,bの条件を考えます。
楕円の式を処理するとcosθの2次式になるので、2次の係数の符号によって場合分けして考えます。
(2) (1)の結果を使ってC1, C2を連立して解きます。
(3) 面積を積分を使って計算する問題ですが、図を描くと60°といううまい角度が出現することに気付けないと大変になります。b=1/√3という数値設定にはちゃんと意味があるわけです。
<筆者の解答>