理系数学の最難関の一角、東京工業大学の2012年の問題を取り上げます。
第1問
小問集合です。
(1)基本的なベクトルの計算問題です。全てのベクトルをOA, OB, OCの和で表して計算する、という方針で良いでしょう。
(2) 3つのサイコロの目の積が10の倍数になる確率を計算する問題です。サイコロの目の積が10の倍数になるのは、「5の目が出る」「偶数の目が出る」の両方が実現するときです。5の目の個数で場合分けして場合の数を数え上げましょう。
<筆者の解答>
第2問
整数問題で、(1)と(2)は独立した小問になっています。
(1) 桁数を求める数は、(3^100 -1)/2なので、3^100の桁数を調べるのが先決でしょう。しかし、3^100の先頭の数が1の時は2で割るとケタ落ちしてしまうので、先頭の数字が何かを知る必要があります。そのとき、問題文には書いてありませんが、log2 = 0.3010を使う必要があります。
(2) ガウス記号が登場したら、とりあえずM= [ √n ] と整数の文字で置いてしまうと見通しが良くなります。このように文字でおけば、nは、M^2 ≦n ≦ M^2 +2Mだと分かります。
Mがnの約数ということは、言い換えればnはMの倍数となりますので、Mを固定したときに、n = M^2, M(M+1), M(M+2) が条件を満たすと分かります。あとはMを1~100で動かしてあげればよいですが、M=100のときだけM(M+1), M(M+2)が候補から外れることに要注意です。
<筆者の解答>
第3問
3次関数と直線で囲まれる面積を考える問題です。計算量のえぐい難問です。
(1)は難しくありません。連立すると実質2次方程式を解くことに落ち着くので、この2次方程式がx=0以外の実数解を持つ条件を考えます。
(2)場合分けが必要なうえに面倒な積分計算が要求されるボリュームの大きい難問です。
場合分けは、(1)で考えた2次方程式の2つの解とx=0との大小関係の違いにより発生しまし、大きく分けて「0が真ん中にある場合」と「0が最小の解の場合」の2パターンです。それぞれについてS(a)を計算するのですが、特に後者の積分がえげつないです。
前者の場合は、積分はまだマシな方ですが、結果「単調増加」というあっけない結果となりがっかりする羽目になります(結果論で考えれば、単調増加になることは自明ですね。。解いてるときには全く気付けませんでした。。)
後者の場合は、aの式として進めようとすると式があまりに複雑になってしまうので、(1)の0以外の解αを変数として考えると多少は楽になります。それでも、出てくる答えはかなり汚いです。
<筆者の解答>
第4問
複雑な漸化式の一般項と、極限を求める問題です。
(1)はとりあえず実験してみてねという問題です。
(2) (1)の結果から一般項の予想ができるので、それを帰納法で証明します。
(3) √anのままだと何もできないので、ルートが外れるようにbnをうまく不等式で挟んであげましょう。両辺の極限は区分求積法で計算できるので、はさみうちの定理に持ち込めます。
<筆者の解答>
第5問
行列を決定する問題です。
(1)問題文の条件は、要するに、「OP'/OPが常に一定になる」ということです。この比を文字で置いて、(OP'/OP)^2を計算して、これがx,yの恒等式になるa~dの条件を考えます。
今回は、特別な値( (x,y)=(1,0),(0,1) )を代入する方法がうまくいきます。
(2) (1)の検討を進めると、ab+cd=0という条件も求まります。これと、(1,√3)が(-4,0)に移る条件と合わせると、未知数4つに4つの方程式を用意できるので解くことができます。
<筆者の解答>
第6問
東工大にしては珍しく第6問があります。この年の前後で、「4問→6問→5問」と問題数が変化しており、出題形式を模索していた時期だったのでしょう。
そんな第6問は、四面体のうち円柱からはみ出した部分の体積を計算する問題で、東大の過去問で頻出しているタイプの問題です。
△ABCは調べてみると原点を中心にした正三角形になっていることが分かり、四面体の残りの頂点PについてもOPが△ABCに垂直という嬉しい形をしています。
これらのことから、四面体の平面z=tによる断面は、常にz軸を中心にした正三角形になっていることが分かりますので、結局、この正三角形が単位円からどの程度はみ出ているかを調べればよいことになります。
とはいえ、変数をうまく設定しないとはみ出した部分の断面積はうまく計算できず、その後の積分もかなり大変です。
<筆者の解答>