理系数学の最難関の一角、東京工業大学の2010年の問題を取り上げます。
第1問
三角関数を含んだ関数の増減と積分値、および大小関係の評価をする問題です。
(1) f'(x)を計算してf(x)の増減を調べればよいでしょう。
(2) (1)の結果を使って絶対値を外して積分を計算します。問題文にsinαの式で求めよとあるので、1-cosα-αsinα = 0 を使って単独のαを消去して計算します。
(3) f(x)のグラフを使ってαの範囲に目星をつけるとよいでしょう。手頃な角度が3π/4なので、f(3π/4)を計算してみるとよいでしょう。この場合、√2とπの値をうまく評価してあげる必要があります。
<筆者の解答>
第2問
ガウス記号の入った方程式の解の存在条件を考える問題です。
(1)(2) (*)は「x=ガウス記号」となっているので、xは整数であることが分かります。よって、x=nとおいてガウス記号を不等式で外してあげると、anの一般項を求めることができます。
(3) 部分分数分解を使う、基本的なΣ計算です。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題で、「これって本当に東工大なの?」と疑ってしまうほどに簡単な問題です。正直、「p(n)を求めよ」でようやく東工大なら標準レベル、という感じでしょうに。。
(1) 小さい数の候補が3か6なので、そうなる出方を列挙するだけです。
(2) (1)と同じように、小さい数が3lとなる場合の数を調べてΣ計算するだけです。
<筆者の解答>
第4問
領域図示の問題で、易しめの問題が多いこのセットの中では難しめの問題です。
問題文に書かれている条件が分かりにくいので、これをうまく数式にほぐしていく必要があります。
まず、「AQ/AP≦2」については、半直線という条件からOQ = OA +qAP (q≧0) とかけて、ここでのqがAQ/APそのものです。よって、「AQ/AP≦2」は「0≦q≦2」と言い換えられます。
次に「QP/OQ≦AP/OA」は、変形すると「|1-q| OA ≦ OQ」となるので、これをx,yの不等式で表現できます。
以上をまとめると、求めるべきは、
「0≦q≦2となるどんなqに対しても、|1-q| OA ≦ OQ となるようなx,yの条件」となります。
q=0のときは成立が簡単に分かるので、q>0のケースを実質は考えます。
このとき、|1-q| OA ≦ OQは実質qの1次関数にできるので、この1次関数の傾きの符号によって場合分けして考えることになります。
[11/30訂正]
Pが原点と一致する場合、OQ=0となる(要するに与式の分母が0になる)可能性がでてしまうため、Dから除くべきでした。なので、答案から原点を除いたものが正解です。
ご指摘いただいた、あさん、ありがとうございました。
<筆者の解答>