ちょぴん先生の数学部屋

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平成の名古屋大文系数学 1989年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

最終回の今回は名古屋大学の1989年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の名古屋大理系数学 -1989年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

第1問

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3次関数の決定と、その方程式の解の大小に関する問題です。

 

(1) 極値の情報から、f'(x)=ax(x-1)と書けるので、これを積分して極値の値から積分定数を確定すればよいでしょう。

 

(2) (1)のグラフからβが0と1の間にある数だと分かります。0と1の間にある手頃な値を持ってきて、これとα,βとの大小を比較するという作戦で行きます。f(x)の値の符号で大小を判定できます。幸い、1/2という一番シンプルな値でうまくいきます。

 

<筆者の回答>

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第2問

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積分の絡んだ因数定理の問題です。

 

因数定理から、F(x)がx-bで割り切れるとき、F(b)=0となります。P(x)を文字で置いて積分したとき、P(x)の各係数について、F(b)=0が恒等式になる条件を考えればよいでしょう。

 

<筆者の回答>

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第3問

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行列の計算と1次変換に関する問題です。

 

(1) AがEの定数倍か否かで状況が変わるので場合分けします。

AがEの定数倍なら、A=kEと書けてkが求まりますが、O, Eとなってしまい不適です。

AがEの定数倍でないなら、ケールーハミルトンの定理を使って処理できます。文字は最後まで消去しきれず、任意定数として残ります。

 

(2)行列式=0になる行列の有名な性質ですね。(s,t)を(X,Y)に移すとして、(1)の答えのそれぞれについて個別に調べましょう。

 

<筆者の回答>

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[訂正]問題文の行列の成分を勘違いしたまま解いていたので、やり直しました。方針自体は一緒です。

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