ちょぴん先生の数学部屋

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2021年度 名古屋大理系数学 解いてみました。

2021年も大学入試のシーズンがやってきました。

今回は、名古屋大学の理系数学に挑戦します。

 ※第3問に関して致命的なミスがあったので修正をしました。

 

<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)

1. 放物線の共通接線、面積(25分)

2. 数値の大小比較、符号判定(20分)

3. 特殊なすごろくに関する確率(35分)

4. ガウス記号を含んだ漸化式(25分)

 

<体感難易度>

 2<1<3<4

ここ数年暴走気味だった名古屋大ですが、飛び抜けた難問も鳴りを潜めた大人しめのセットになりましたね。とはいえ、誰でも簡単に解けるような易問はないので、完答はやっぱり難しいですね。

 

<個別解説>

第1問

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放物線の共通接線、面積に関する問題です。

 

(1)これは流石に良いでしょう。教科書レベルの問題です。

 

(2) (1)で求めた接線が、C2にも接しているという条件を処理すると見通しがいいです。C2と連立した方程式が重解を持ち、そんなtが2つある条件を調べましょう。

 

(3) 解と係数の関係を使って、2接線の式を連立します。

 

(4) (3)の結果を使えば、区間分けも特にない単純な積分計算でS(a)を計算できます。

 

(5) S(a)を微分して増減をチェックすればよいです。

 

<筆者の回答>

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第2問

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数値の大小比較、符号判定を行う問題です。中々ユニークな問題で面白いです。

 

(1)α,β,γの対数の底をすべて揃えて掛け算すれば簡単に確かめられます。

 

(2) 2^α=3, 3^β=5, 5^γ=2 と直せるので、うまい値を持ってきて挟んであげましょう。

√2, √3, √5などをうまく利用するとより厳しい精度で評価できます。δ=3/2が与えられているのは、そのヒントなんでしょうね。

 

(3) これは、思いついてしまえば速攻でケリがついてしまいますが、思いつかなければ詰むという、発想重視の問題です。

(1)の結果を使うと、q= αβ+βγ+γαと書き換えることができます。これとp=α+β+γ、αβγ=1, 何かピンとこないでしょうか?「3次方程式の解と係数の関係」とよく似ていますね。それを念頭にf(x)の式を眺めてみると、f(x)=(x+α)(x+β)(x+γ)と因数分解できることに気付けるかもしれませんね。

正直この因数分解に気付けるかが全てと言っていい問題でした。あとは(2)の評価をつかって、x+α, x+β, x+γ の符号をチェックしてあげればお終いです。

 

<筆者の回答>

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第3問

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特殊なすごろくに関する確率の問題です。いかにも名古屋大らしい確率の問題ですね。。

 

要は、最初にでたらめに数字を選び、そこから右か下かに動かし続けて行き止まれば終了、というゲームです。やることは単純なのですが、場合分けのパターンが多く時間がかかってしまうタイプの問題ですね。

 

(1) j=2の場合は、最初に1を選んで右に動くか、最初に2を選べば通過可能です。

 

(2)すべての数字の出方を列挙して確率を足していきます。手計算ではかなりしんどい計算です。

 

(3) j=12の場合は(2)と同様に考えればよいでしょう。j=9の場合は、上がり手がj=5,9,11,12の4種類しかないので、これらすべての確立を足せば1になることを利用します。

 

<筆者の回答>

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第4問

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ガウス記号を含んだ漸化式に関する問題です。受験生の苦手なガウス記号が狙い撃ちされた格好です。

 

(1) 単純に代入すればよいのですが、aが1/2未満か、1/2以上かで場合分けが発生します。よって、グラフはx=1/2で不連続になります。

 

(2) ガウス記号自体の持つ性質として、x-[x]<1というものがあることに注意して、[an+1/2]を求めましょう。

 

(3) (2)の逆を考えればいいので、0≦an - [an]<1/2の場合を考えればよいわけです。基本的な流れは(2)と同じなのですが、途中で細かく不等式で挟んでいかないと、目的の漸化式にたどり着かないです。正直、私の答案自身も曖昧さを残したものになってしまっています。

(3)ができなくても、結果ありきで(4)は解けますので、多少の減点は止む無しでしょうか。

 

(4) anが単調減少列なので(3)の結果を使えます。まず[an]の漸化式は単純な等差数列なので、簡単に一般項が出ます。[an]の一般項を、もう一つの漸化式に代入すれば、nの1次式の混じった等比数列の漸化式が得られます。

色々解き方はありますが、an= 等比数列+nの一次式 と一般項を準備して、辻褄が合うように係数を合わせるという解法で解きました。

 

<筆者の回答>

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