ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

2021年度 東大文系数学 解いてみました。

2021年も大学入試のシーズンがやってきました。

今回は、東京大学の文系数学に挑戦します。

原則、文系ユニークの問題のみ解きますので、理系との共通問題については理系の記事をご覧ください。

理系の記事はこちら

2021年度 東大理系数学 解いてみました。 - ちょぴん先生の数学部屋

 

<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)

1. 円と3次関数の交点の個数(20分)

2. 連番の有無を考慮した数字の選び方(40分)

3. 放物線の通過領域(30分)※理系第1問と共通

4. 二項係数を4で割った余り(40分) ※理系第4問と共通

 

<体感難易度>

1<3<2<4

相変わらず東大は文系の受験生にも容赦のない出題ですね。一番簡単だと思われる第1問ですら、解法をしくじると解けなくなる可能性があえいます。

理系との共通問題である第4問は、理系としても難問に入る問題だったので、文系によっては捨て問同然でしょう。

 

<個別解説>

第1問

f:id:stchopin:20210228161532p:plain

円と3次関数の交点の個数に関する問題です。

 

円の式は2次式、方や3次関数なので次数が揃っていなくて扱いにくく、yを消去すると実質6次関数を処理しないといけないばかりか、aがばらけてしまって大変なことになります。なので、x,yの片方を消去する、という作戦は避けた方がよさそうです。

 

となればどうするか?円には非常に便利なパラメータ表示があるのでした。x=cosθ, y=sinθですね。これらを3次関数に代入して変形すると、tanθの3次方程式に帰着できます。「あれ?3次関数だと、解が3個しか出てこないじゃん」を不安になりますが、大丈夫です。

 

Cと円の式をよく見てください。どっちのグラフも原点対称なことに気が付きます。そしてx=0を満たす交点がないことはすぐに分かります。ということは、x>0のエリアに3つ交点があれば、x<0のエリアにも自動的に3個交点ができるので、合計6個の交点が無事できることになります。なので、x>0のエリアに限定して3つ交点がある条件を考えればよくなります。

 

そうなると、cosθ>0の範囲でθを決めればよく、不連続がないように-π/2<θ<π/2とθの範囲を定義してあげればよいでしょう。この範囲ではtanθは連続に単調増加するグラフ(しかも実数全体を隈なく動く)になるので、上記tanθが3つ求まれば、対応するθ自身も3つ求まるので、きちんと交点の個数と1対1対応になります。

 

よって、tanθの3次方程式が、3つの実数解を持つようにaを調整すればよいことになります。aがキレイに分離できているので、tanθ=XとおいてXで微分してグラフを描いてあげて、それと横棒が3点交点持つようにすればOKです。

 

初手のパラメータ表示を代入して解く、というアイデアを思いつけたかが大きく明暗を分ける問題になりました。

 

[3/6追記]

パラメータ表示を使わず直接代入する方法でも解いてみましたが、思ったよりは複雑にならずに解くことができました。

 

<筆者の回答>

f:id:stchopin:20210228175814p:plain

[3/6追記]パラメータ表示を使わない別解です。

f:id:stchopin:20210306110328p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20210228161555p:plain

連番の有無を考慮した数字の選び方を数える問題です。「1」を必ず選ぶというのがキーポイントです。

 

この問題を解くにあたっては、いきなり解き始めるのではなくまずは実験をして様子を見てみることが大事になります。答案では実験した部分もメモ書きで残してありますので参考にしてください。

 

(1) N=5で実験してみると、条件1を満たす選び方で最も安直なものが、S={1,3,5,7,9}です。10を選ぶ場合を考えると、どこかの数字の間隔を1ヶ所だけ+3にしてあげればよいと分かります。

 

この実験に基づき一般のNについて考えれば、「1から+2ずつ選んでいく」か「一か所だけ+3にし、残りは+2となるように選んでいく」の2パターンが条件1を満たすSだと分かります。

 

(2) こちらもN=5の場合で実験してみます。

まずは、3個の連番の中に「1」が入っているケースを考えると「2」「3」は必ず選ばれ、3個の連番が「少なくとも1組」あるという条件なので、「4」以降は好きな数字を2個選べば事足ります。

 

次は、3個の連番の中に「1」が入っていない場合を考えます。この時は「1」とは別に3個の連番が存在していることが分かります。4個の連番がある時は「3個の連番が2組ある」と解釈できるので、ダブルカウント防止のために「ちょうど3個の連番が1組ある」と「ちょうど4個の連番が一組ある」を別々にカウントしたほうがよさそうだと分かります。

この考えの下では、「ちょうど4個の連番が一組ある」は簡単に数えられ、連番の先頭の数字が3~7の5通り考えられ、1とその4個の連番で選び尽くせています。

 

「ちょうど3個の連番が1組ある」の数え上げは注意が必要です。選ぶ数字が1個余っていますが、ほとんどの場合は連番の前後の数字をNGにしてしまえばよい(例えば「5,6,7」の連番であれば、4と8をNGにすればよい)のですが、「8,9,10」の場合だけは例外で、7しかNGになりません。このNGにすべき数字の個数の差が、場合の数に影響を与えます。

 

ここまでを実験で検証すれば、あとはこれを一般のNの話に焼き直せば終了です。

 

<筆者の回答>

f:id:stchopin:20210228175841p:plain

f:id:stchopin:20210228175904p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20210228161821p:plain

理系第1問との共通問題です。詳しくは理系の記事をご覧ください。

 

第4問

f:id:stchopin:20210228161905p:plain

理系第4問との共通問題です。詳しくは理系の記事をご覧ください。