ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋後期数学 -1996年-

このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。

 

19回目の今回は1996年になります。

※1997年~1999年は問題が入手できなかったので、入手出来次第後日やります。

 

第1問

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行列を求める問題です。

 

問題文にある条件式はケーリーハミルトンの定理そのものになっているので、Aの成分を文字でおいて検討します。1次変換の性質については、直線状の任意の点が、同じ直線状にある条件を考えることになります。

 

ただ、ケーリーハミルトンの定理を使って検討できるのはAがEの定数倍でないときだけなので、AがEの定数倍になっている場合を別途考える必要があることに注意です。

 

<筆者の解答>

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第2問

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4次関数と直線の交点に関する問題です。

 

Cとlが接しているというので、Cとlを連立してできる4次方程式は重解を持ちます。交点が2点あって1点でしか接していないという条件を満たすには、「3重解αと、もう1つの解β」という形でないとダメなことが分かります。

 

ということで、4次方程式を因数分解した形が分かるので、そこから逆算してaの条件を決めていくことになります。

 

具体的には係数比較からαとβの関係式が求まり、そこからaをαの式で書くことができるので、αを動かしたときにaの動く範囲を考えます。そのとき、α≠βに注意します。

 

<筆者の解答>

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第3問

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体積の計算問題です。

 

球の中心を原点、円錐の底面がxy平面に平行になるように座標を設定すると見通しがよくなります。

 

そのとき、底面に平行な平面で立体を切った時の切り口の面積を計算して最終的に積分すれば体積が求まります。

 

球の断面と円錐の断面の両方が円になるので、どっちの円の半径が大きくなるかで場合分けして考えます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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球の配置に関する問題です。

 

問題文のままだと抽象度が高すぎるので、座標を設定したいです。αとβが直交している、という点から、lをz軸、α、βをxz平面、yz平面と読み替えて、2つの球をx>0,y>0に配置する、と考えると見通しがよくなります。

 

(1) O1O2がlと垂直になるのは、S1がS2の下側に潜る場合になるので図を描いてrを求めます。

 

(2)S1とS2が接するのはO1O2 = 1+rとなるときなので、それを利用してO1とO2を結んだベクトルの成分を調べるとよいでしょう。内積から成す角が分かります。

 

<筆者の解答>

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第5問

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確率の問題です。

 

(1)n回目に初めて積が12になるのは、

1. 積が2の状態で6を引く

2. 積が3の状態で4を引く

3. 積が4の状態で3を引く

4. 積が6の状態で2を引く

の4パターンがあるので、それぞれについて確率を計算しましょう。

 

(2)n回目に積が12の状態になっているのは、

k回目に初めて積が12になって残りのn-k回で全て1が出れば実現できます。(1)の結果を使ってqnを求めましょう。

 

<筆者の解答>

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