ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の北大理系後期数学 -2017年-

このシリーズでは、平成の北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

3回目の今回は2017年になります。

 

第1問

f:id:stchopin:20220124165009p:plain

 

三角形の面積と、三角柱に含まれる級の半径の最大値を求める問題です。

 

(1) 余弦定理で三角比を出して面積を計算してもいいですし、ヘロンの公式という3辺の長さが分かっている時の必殺技もあります。

 

(2)球の半径の最大値を考えるので、三角柱に内接する場合に特化して考えてOKです。

 

そのとき、底面と天井に接するか、側面に接するかの2択です。前者の場合の半径は2, 後者の場合の半径はTの内接円半径rです。なので、rを計算してrと2の小さい方がどっちかを考えればいいことになります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220124175506p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20220124165034p:plain

 

複素数を使ってcosθ^2nの積分を計算する問題です。

 

(1)問題文の通りに、2項定理を使うだけです。

 

(2)z=cosθ+isinθを(1)の式に代入すれば、sinの方が無事に消えてくれます。

 

(3) (2)で示した式を両辺積分すればいいでしょう。cosのある部分が全て0になってきえて、cosのない項だけが生き残ります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220124174613p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20220124165101p:plain

 

絶対値の入った漸化式で書かれた数列の収束性を判定する問題です。

 

(1)c≧0の場合は、数学的帰納法でan≧0は容易に示せ、漸化式はごく一般的な「特性方程式を使う」タイプで解けます。

 

(2) (1)の結果から途中でanが0以上になってしまうとその先でanが負になることはありません。よって、ak+1<0となるためにはa1~akの全てが負でないといけません。

それをもとに、ak+1<0となるように逆算でcの条件をkの式で書いてしまいましょう。

 

そしてk→∞とすれば、欲しい答えが求まります。

 

(3) (1)の結果からc≧0なら収束、c<-2なら発散することが分かります。あとは調べられていない-2≦c<0の範囲をチェックします。

 

この範囲だと途中でan≧0となるので、その先の挙動は(1)のものと同じになることに気付けるかがポイントですね。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220124174646p:plain

f:id:stchopin:20220124174712p:plain

 

第4問

f:id:stchopin:20220124165123p:plain

 

線形計画法の問題です。

 

(1) Qとlの交点が1点以下なので、両者を連立した方程式の実数解が1個以下、つまり判別式≦0が条件となります。

 

(2)Aについては点と直線の距離の式から、BについてはBでの接線の傾きが-1になることから、Cについては素直にBでの接線とlとを連立させれば求まります。

 

(3) (2)の結果からAとBのy座標が等しい事を利用すると、面積の計算が容易く進みます。

 

あとは、面積の式をab平面の直線の式と解釈して、問題文にある条件からできる領域とこの直線が交点を持つ面積の条件を求めてあげればOKです。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220124174746p:plain

f:id:stchopin:20220124174821p:plain