このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
6回目の今回は2014年になります。
第1問
行列の対角化を使って漸化式を解く問題です。
(1)いわゆる行列の対角化という作業です。ATとTBを計算して係数比較を行いましょう。
(2) (αn, βn)=A^n (1,0)となるので、あとはA^nが分かればOKです。(1)の結果を使うと、A=TBT^(-1)となるので、A^n=T*B^n*T^(-1)と計算することができます。
(3)dnを素直に計算して極限を取るのみです。
<筆者の解答>
第2問
条件付確率の問題です。
(1)40g以上になるのは、赤か青を取り出したときです。
(2)100kg以上になるのは、赤を2個、赤と青、赤と白のいずれかの取り出し方の時です。
(3)3個の中で赤が1個でも入っていれば必ず150g以上になり、逆に赤を引かなければ必ず150g未満になります。
後者の方が計算しやすいので、余事象で考えるとよいでしょう。
<筆者の解答>
第3問
絶対値を含んだ積分の最小値を考える問題です。
(1)2曲線の交点x座標がx=0, logaの2つ求まるので、0<loga<1となる条件を考えます。
(2) 絶対値が入っているので外す必要があります。その際(1)の結果をヒントにすればaの値で場合分けして調べればよいと分かります。
h(a)を一通り計算すれば、両端では単調に変化するので、真ん中のエリアの増減を考えればよいと分かります。
<筆者の解答>
第4問
サイクロイドの亜種を考える問題です。
(1)実際にt秒後の様子を絵に描いてみるとよいでしょう。
(2)xとyをtで微分して増減を調べることに終始します。
a=1の場合はxが単調増加して、Cは純粋なサイクロイドになります。
a=1/2の場合は回転要素が強すぎてxも逆走するエリアが登場します。
(3) (2)の結果を使ってtに変数変換したうえで積分計算します。すると、積分区間がうまい具内に繋がって0~2πで一気に積分できるようになります。
<筆者の解答>
第5問
ニュートン法についての問題です。(4)で示す結果から、このxnの計算はf(x)=0の実数解aの近似値を求めることに使われます。
(1) xnの漸化式を求めると、与式の分子をf(xn)に変えることができます。f(a)=0に注意すると平均値の定理が適用出来て、さらにf''(x)>0なので、f'(x)は単調増加なことも分かります。
(2) (1)の不等式の右側を使えば証明できます。
(3) (1)の不等式の左側を使えば証明できます。
(4) (3)の結果からはさみうちの定理に持ち込みます。
<筆者の解答>