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平成の九大理系後期数学 -2001年-

このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

19回目の今回は2001年になります。

 

第1問

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楕円と直線の回転体についての問題です。

 

(1) 定石通りに回転体の体積を計算すればよいでしょう。

 

(2)Lの式からLのx切片とy切片が求まります。Lの回転体は円錐になるので、その円錐から(1)の立体の半分を引けばVになります。

 

問題文には「s,tの式で求めよ」とありますが、aとbを綺麗に消去する方法が思いつかなかったので、a,b,s,tがすべて混じった式で留めています。

(s,tをs=acosθ, t=bsinθと変換しても、θが残ってしまいます)

 

(3) s=acosθ, t=bsinθと変換すれば、Vをθだけを変数とする関数で表現できるので、分母を微分して増減を調べましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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不等式証明の問題です。

 

(1) 与式をひたすら同値変形していきます。a=b=cのとき等号成立しそうなので、(a-b)^2, (b-c)^2, (c-a)^2を作ることを意識して式変形するとよいでしょう。

 

(2) 数学的帰納法を使って証明していきます。

 

<筆者の解答>

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第3問

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陰関数の増減と極限に関する問題です。

g(x)はxの式でストレートに書くことが出来ず、log g(x)/g(x) = logx/xを満たすxでない関数、として間接的に定義されます(このような関数を陰関数と言います)。

 

(1) 上記の等式のg(x)をtxに置き換えてxについて解いて行けばよいでしょう。

 

(2) 対数を取ってから極限を取るとよいでしょう。αについてはtlogt→0 (t→0)を、βについてはネイピア数eの定義を利用します。

 

(3) 上記の等式をxで微分すると、g'(x)をxとg(x)の式で表現できます。このときにxとg(x)の位置関係をグラフで書くと符号が見えてきます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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確率の問題です。

 

(1)いわゆる反復試行の確率という奴です。

 

(2) (1)の結果をk=1,2,・・・,nですべて足し上げます。特にΣを計算できるわけでもなさそうなので、Σの形をそのまま残して答えです。(3)を見越すと、ますますΣを計算する意義はなさそうです。

 

(3) 区分求積法によってPの極限は積分の形で書くことができます( (2)でΣをそのまま残したことがここで生きてきます)

 

ここで登場する積分は「ベータ関数」とよばれる特殊なタイプの積分で、I(m,n)=∫t^m(1-t)^ndtとおいてI(m,n)の漸化式を作ることで解くことができます。

 

結果、Pの極限はなんとiによらないrだけの式になります。なんとも不思議な感じがしますね。

 

<筆者の解答>

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