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平成の九大理系後期数学 -1994年-

このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

26回目の今回は1994年になります。

 

第1問

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3次関数がもとの3次関数に移るような一次変換を求める問題です。

 

(1) (x',y')がx,yによらずC上にある条件を考えます。究極的にはxの恒等式に帰着するのですが、全部展開して処理するのは流石に大変です。

 

このときy'=x'^3 +ax'^2 +bx' +cを処理したときに左辺は高々3次式になるので、右辺をxの多項式に直したときの4次以上の係数は全部0になってないといけません。ここからβ=0でないといけないと分かります。これに気付けると大分見通しがよくなります。

 

とはいえ、この後も行列がEやOにならないように繊細に場合分けする必要があります。

 

(2) (1)の結果からa=c=0だと分かるので、(x0, y0)はbだけの式で簡単に求まります。あとはbを消去すれば軌跡が求まります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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楕円の回転に関する問題です。

 

(1) θ=0のときのCのパラメータ表示は(3cosΦ, sinΦ)となるので、この点をθ回転させればCのパラメータ表示が求まります。この表示のy座標の(θを固定してΦを動かしたときの)最大値がLの高さになります。

 

(2) θ=ωtとして、(1)の結果をtで微分して考えます。「θを求めよ」とありますが、θの具体的な角度は求まらず、sinθの形で求まることになります。

 

[訂正]

(2)において、f'(X)の計算結果にミスがありました。

正しくは分母が(1-4X)(2X+1)となるので、f(X)はX=1/4で最大となり、対応するθは±π/6という有名角になります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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指数関数×三角関数の形の積分を考える問題です。

 

(1) e^(-x)sinxとe^(-x)cosxをそれぞれ微分してあげれば原始関数が分かります。

 

(2) (1)の結果からIの式が求まるので、a=(n-1)π, b=nπとして積分を計算します。面積を考えるので、絶対値を取ると間違いがないです。

 

(3) Anは等比数列なので、その無限級数を計算するだけです。

 

<筆者の解答>

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第4問

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微分方程式の問題です。

 

(1) 時刻tから時刻t+Δtでの水の出入りを考えましょう。そうして式を立ててΔt→0とすれば微分方程式が求まります。

 

(2) (1)の微分方程式を解いてf(t)を求めると、f(t)は単調増加かつ上限値があることが分かります。Vの深さが、その上限値以上であれば水は溢れません。

 

<筆者の解答>

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