このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
18回目の今回は2001年になります。
第1問
面積に関する極限計算の問題です。
問題文の条件を処理すると、√akの一般項が、k/nの式で求まるので、区分求積法で極限が計算できます。
<筆者の解答>
第2問
複素数平面に関する問題です。
(1) 色々方法はあると思いますが、α=cosθ+isinθとおくとmの式が実数tを使ってz-α=t×iα =t(-sinθ+icosθ)と書けることを使って答案では証明しています。この式の立て方はベクトル方程式と同じ要領で、iαはαを90°回転したものに相当します。ここから複素共役を取りつつ、θとtを消去する方向で考えます。
他には、xy座標の世界に直して式を立ててzの世界に引き戻す方法でも行けると思います。
(2) 正三角形をなすためには3直線はなす角60°で交わってる必要があり、そうなると(1)の知見からα, β, γはなす角が120°ずつになっていないといけないと分かります。
<筆者の解答>
第3問
対戦カードの組み合わせを調べる場合の数、確率の問題です。
(1)まずは試合順を考慮して組み合わせを調べてあげて、最後に試合順の場合の数n!で割ってあげれば、試合順を考慮しない組み合わせの総数が求まります。
(2) 選手に1,2,...,2nと番号を付けて、1日目の対戦カードが全て2k-1 vs 2kであると考えても一般性を失いません。
このとき、対戦カードが2j-1 vs 2jだけ共通で残りの全試合が異なる場合の数はMn-1です。これにjの場合の数だけ掛け算すれば答えです。
(3) n=4としたときの対戦カードの組み合わせは、
(i)全試合1日目と異なる組み合わせ→M4通り
(ii)1試合のみ前日と共通となる組み合わせ →4×M3通り
(iii)2試合のみ前日と共通の組み合わせ →6×M2通り(※(2)と同じ要領で求まります)
(iv)全試合前日と共通の組み合わせ →1通り
の合計105通り( (1)の答え)となります。
求める確率はM4/105となるので、M2, M3を調べましょう。
<筆者の解答>
第4問
行列の対角化の問題です。
(1)AB=BCに代入して係数比較すればよいです。
(2) A=BCB^(-1)となりCが対角行列なので、A^n=BC^nB^(-1)で求まります。
(3) (2)の結果を使うとpnの一般項が求まるので、それが収束する条件を考えます。公比が「絶対値が1未満」だけでなく、等比数列の係数自体が0になる場合も収束することに注意です。
<筆者の解答>
第5問
カテナリー曲線の長さに関する問題です。
(1) Cは、両端を固定したひもを垂らした形状となり、「カテナリー曲線」と呼ばれます。
(2) L(a) =∫√(1+y'^2)dx で計算できます。
(3) L'(a)を計算して、それがa>1で正の値になることを説明すればOKです。
<筆者の解答>
第6問
曲線の極方程式に関する問題です。
(1) x=rcosθ, y=rsinθと変換すると極方程式の候補がいくつか求まるのですが、実はそれらは1本にまとめることができます。ここで使うのは「極方程式では、(r,θ)と(-r, θ+π)が同じ点を表している」という知見です。
(※rが負になる場合も許容する、というところがポイントです)
(2) (1)の結果を使って、θ=0, ±π/2, πの各場合にrの値を調べてあげれば軸との交点が求まります。これをベースにCの概形を書くことができます。
(3) (1)の結果からx,yをθだけの式で書けるので、x,yのθに関する増減を調べてあげましょう。xについてはcosθだけの式なので微分入らずの平方完成で処理できますが、yについてはcosθとsinθが混在しており、微分での検討が不可避です。
<筆者の解答>