ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の早稲田商数学 -2022年-

私大文系入試で最高難易度と呼び声の高い、早稲田大学商学部の数学の問題を解いていきます。

 

初回の今回は2022年です。

 

第1問(1)

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数列の処理の問題です。

 

漸化式から、anに対数を2回取ったものをcnとすれば、cn+2 =cn+1 +cnというフィボナッチ数列の形にできます。

 

ここから一般項を求めるよりかは、求める値がc10なので、直接漸化式を使って計算してしまった方が早いと思います。

 

<筆者の解答>

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第1問(2)

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関数の最大値を求める問題です。

 

色々な解き方があると思いますが、数Ⅲ知識を使わずに解こうと思ったら、x-y=s, xy=tと変数変換をしてx^2 + y^2≦1 →s^2+2t≦3とし、s-tの最大値を調べる方針で行くのが良いと思います。

 

答案ではs^t+2t=r^2とrを固定してs-tの最大値をrの式で求める、という形で進めていますが、領域を図示した線形計画法でも行けると思います。

 

他には、x=rcosθ, y=rsinθ (0≦r≦√3)と変換してx-y-xyをr,θの式で表現して処理する、k=x-y-xyが双曲線の式と見なせるので円x^2+y^2=3と交わるkの最大値を考える、などの解法があると思いますが、たぶん数Ⅲ知識が必要になってきてしまうんじゃないかと思います。

 

<筆者の解答>

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第1問(3)

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漸化式に関する問題です。これはなかなか難しい問題だと思います。

 

この手の、an+1 =f(an)というタイプの漸化式でanの不等式評価が出てくる場合、y=f(x)とy=xのグラフを書くことでanの増減を視覚的に捉える、というのが典型解法になります。

 

実際にグラフを書いてみると、第1象限での交点x座標がx=(3+√21)/2になるので、この値がキーポイントになります。以後この値をαとします。

 

もしa>αだと、anは単調に際限なく大きくなっていくので、条件を満たしません。

a=αでは、anはずっとαのままとなりα<10なので条件をクリアできます。

 

「aの最大値を求めよ」なら、これでお終いなのですが、問われているのは「最小値」です。ここが難しいポイントです。

 

他方、a2以降ずっと値がαになってくれるaがもう一個あることに気が付きます。a=(1-√21)/2です。これが「最小値」であってくれたら嬉しいので、aがこの数より小さいと不都合が起こることを確かめましょう。

 

<筆者の解答>

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第1問(4)

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3次関数を回転した曲線とx軸とで囲まれる面積を考察する問題です。

 

3次関数を直接回転した式を考えるのは非常に困難なので、発想を切り替えます。「x軸の方を反時計回りにθだけ回転すればいいじゃないか」と。この直線の式は簡単に求まり、面積も比較的簡単に計算できるので、こちらで進めると見通しが良くなります。

 

計算量がかなり多めの問題なので、上記が分かっても最後まで解き切るのか厳しいかもしれませんね。

 

<筆者の解答>

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第2問

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ベクトルの列に関する問題です。

 

一見すると非常にややこしく見える「a<b」の条件ですが、実験してみると、

「0~7を3桁並べた数字を(x,y,z)と見立てて小さい順に並べればよい」とわかります。

 

つまり(0,0,0)<(0,0,1)<・・・<(0,7,7)<(1,0,0)<・・・<(7,7,6)<(7,7,7)とすればよいということです。

 

これに気が付いてしまえば、見掛け倒しの問題となります。

 

(1)上記の規則性からp64=(0,7,7)となるので、そこから順番に数えていけばよいです。

 

(2) 条件を満たすP=(x,y,z)は、x=2zを満たすので、nの最大値は(6,7,3)に該当する番号だと分かります。64×7=448番目が(6,7,7)になるので、そこから遡ればOKです。

 

<筆者の解答>

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第3問

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空間上の正三角形、正四面体に関する問題です。

 

(1)C1上の2点A,Bと、P(0,1,1)が正三角形になるとき、PA=PBの条件から「AとBはy軸について対称な点」となることが分かります。これを手掛かりにして、AP=ABとなるように座標を決めていきます。

 

(2) C1UC2に4頂点あるとき、「各円に2頂点ずつ」の配置にしかなりえないことが図を描くと分かります。

 

なので、(1)と同様に、C1上にある頂点A,Bはy軸について対称、C2上にある頂点C,Dもy軸について対称、という関係が分かります。これを手掛かりにして各辺が等しくなる条件を処理していきます。

 

<筆者の解答>

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