ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東工大後期数学 -1990年-

このシリーズでは、平成の東京工業大学の後期日程の数学の問題を解いていきます。

 

最終回の今回は1990年です。

 

第1問

 

四捨五入に関する問題です。

 

例えば、四捨五入して5になるような数は、4.5から5.499999・・・までの数字です。この類推で、(x+1)(x-2)を四捨五入して1+5xになるなら、

5x+0.5≦(x+1)(x-2)<5x+1.5が成り立ちます。まずはこれを解くことでxの範囲を絞り込みます。

 

次に、今回の問題は「小数第1位を四捨五入」とあるので、四捨五入した後の数1+5xは必ず整数になるので、xはx=n/5(n:整数)の形に限られます。

 

よって、x=n/5のうち上記の不等式を満たすものを探してしまえばOKです。

 

※負の数字に対する四捨五入の定義が曖昧ですが、正の数字のときと同じ不等式を満たすとみなして解きました。xを正の実数に限定すればより親切な問題になったと思います。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

三角関数に関する多項式の問題です。

 

(1)とりあえず題意を満たす多項式Pn(x), Qn(x)が構成できればOKなので、指示通り帰納法を使って構成していきましょう。

 

(2)一見してPn(x)の因数分解に関する証明問題なので、Pn(x)=0の解を調べることが目標になります。

x=(sinθ)^2とすると、xの周期はπになるのでθ≦θ<πで考えれば十分です。

sin2θ=0 (θ=0, π/2)の時が不都合なのでそれ以外の場合を考えると、Pn(x)=0⇔sin2nθ=0⇔θ=kπ/2n (k=1,2,・・・,2n-1)⇔x=(sin (kπ/2n) )^2

と解が求まります。このとき単位円を書けば、実質k=1,2,・・・,n-1だけ考えればよいことが分かり、(1)でPn(x)がn-1次式だと調べているので、このn-1個のxがPn(x)=0の解の全てだとわかります。

 

ここまでの情報から、因数定理でPn(x)=定数×[ (x-αk^(-2) )のn-1個の積]と因数分解できることが分かります。あとは、先頭の定数を確定させたいです。

 

問題文の式にx=0を代入すると、Pn(0)=1となるので、これが証明できればOKということになります。これはsin2nθ/nsin2θ→1 (θ→0)を確かめればOKで、sinθ/θ→1(θ→0)を利用して証明できます。

 

(3) Σαkは、(2)の式を見ると、Pn(x)の1次の係数の-1倍だと分かります。なので、Pn(x)の1次の係数を調べていきます。

 

(1)の証明の仮定でPn(x), Qn(x)の漸化式を調べているので、それを連立するとPn(x)だけの漸化式になり、その1次の項を比較してあげれば、Σαkの漸化式が求まります。

 

この漸化式は直接解くことも可能ですが結構手間がかかります。せっかくΣαkの結果が与えられているので、帰納法で証明するのがベストです。

 

<筆者の解答>