このシリーズでは、東京大学の後期の数学の問題を解いていきます。
2008年以降は方式が変更(後に廃止)となったため、初回の今回は2007年です。
第1問
曲線に絡んだ図形の総合問題です。
(1) Cの式をxで微分すると接線の傾きが求まるので、接線の式とCの式を連立してあげればよいでしょう。
(2) P1P0ベクトルとP1P2ベクトルの情報からTは容易に計算でき、Sは台形の面積と積分計算を駆使してT-Sを計算することで間接的に求まります。
(3) P1P0ベクトルとP1P2ベクトルの内積が0になればOKです。
(4) (3)から△P0P1P2は直角三角形でP0P2が斜辺になります。外接円の直径がP0P2となることに注意しましょう。
<筆者の解答>
第2問
行列の極限を求める問題です。
(1)Bを愚直に計算し、r+sとrt-s^2も力ずくで計算あるのみです。ここから得られる結果は、「行列のトレース(対角成分の和)」と「行列式」の2つが、AとBでそれぞれ等しくなるということです。
(2) r^2+s^2-a^2-b^2を愚直に計算し0以上になることを確かめます。
(3) (1)の結果から、an+cnとan*cn-bn^2の2つの数列はnによらず一定値3,1を取ることが分かり、さらにan~cnの漸化式を作れ、anが単調増加(ということはcnは単調減少)、anもcnも0より大きく3より小さい、といった事実が分かります。この時点で、anとcnはとりあえず収束することが分かり、さらにbn^2も収束することが分かります。
an, cnの収束値をα, γ, bn^2の収束値をβ^2として考えます。
(ア) 漸化式でn→∞としてあげると、β=0が分かります。
(イ) α+γ=3, αγ=1から、αとγは2次方程式x^2-3x+1=0の2つの異なる実数解となります。上記からanが単調増加、cnが単調減少なので、α≧1, γ≦2となることに注意すればα、γのそれぞれの値が決まります。
<筆者の解答>
第3問
データの平均値に関する問題です。
(1)帰納法で証明しますが、問題文の(B)(C)の通りnが偶数奇数のワンセットになっているので、スタートは「n=1,2で成立する」、その後のドミノ倒しは「n=2m-1, 2mで成立すると仮定すると、n=2m+1, 2m+2でも成立する」という流れになります。
(2)以降は申し訳ありません。うまく解けていません。
Jnの式を簡単にしてJn-1 - Jnが0以上になることをチェックする、という方針で攻めたのですが、knの増減やpn, qnの増減がはっきりせず、かつpn, qnの符号がはっきりしないため符号を決定できなかった次第です。
(3) (2)の結果を使うとJnの値は単調減少し、kn, pn, qn, Jnの取りうる値が有限個なので、nが十分大きいとJn=Jn-1となるしかない、という所までは証明できました。
しかし、(2)がうまくできていないがためにJn≦Jn-1の等号成立条件が詰められておらず、pn=pn-1, qn=qn-1, kn=kn-1が断定できませんでした。
<筆者の解答>