ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東大理系後期数学 -2005年-

このシリーズでは、東京大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

3回目の今回は2005年です。

 

第1問

 

三角形を2等分する線分の長さの最小値を考える問題です。

 

(1)底辺の比の関係から容易に求まります。

 

(2)余弦定理を使うとABの長さがa,b,θの式で書けます。(1)の関係を使うとa,bのどっちかを消去できますが、aの範囲にはθが入る一方でbの範囲にはθが入っていなくて後者の方が取り扱いやすいです。なのでaを消去してbとθの式にするのが良いでしょう。θは固定して考えるので、ABは実質bだけの関数になります。なので、bを動かしてABが最小になる瞬間を探ります。

 

で、PQと1/2の大小関係による場合分けがなぜ必要になるのかを説明すると、aの範囲は0<a≦PQとかけるので(1)の関係式から1/2≦b≦1にbの範囲が絞られるのですが、ABが極小となるbの値が1/2≦b≦1の範囲に入っているか否かが、PQと1/2の大小関係によって決まるからです。

 

(3) PQ=1/2になるθをαとすると、f(θ)が0<θ<α, α<θ<πの各区間で連続かつ微分可能になるのは自明です。なので、境目になるθ=αで連続、微分可能かを調べればOKです。

αへの左側極限と右側極限の値が、f(θ)もf'(θ)も一致すれば、θ=αで連続かつ微分可能ということができます。

 

そしてf'(θ)を求めているので、そこからグラフが描け、最大値も分かります。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

期待値を使って、一番有利な戦略を考察する確率の問題です。

 

(1)第lラウンド(l=1,2,・・・,r-1, r)で「終了する」確率を調べてあげればOKです。r=1の場合だけ例外扱いになりますが、最終的には合流します。

 

(2) (1)でr=2とすれば、得点の期待値がkの2次関数で書けるので、それが最大になるようにkを決めてあげればよいです。

 

(3) 第1ラウンドで戦略fm(x), 第2ラウンドで戦略fn(x)を採用したときの、得点の期待値を計算し、m,nを動かして最大化してあげます。1文字固定で検討していけばよく、m,nが整数であることに注意します。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

面積を最大にする条件を考える問題です。

 

(1)Dの内側の円に共通部分が被るか否かがaの値によって変わるので、場合分けして調べます。

 

(2) (1)の結果をそれぞれ微分するのですが、「微積分学の基本定理」(積分区間の数字上端の数字を積分の中身に突っ込む)を使えばOKです。

 

(3) (2)の結果から1≦a<2でS(a)が単調減少することはすぐにわかり、-1/2≦a≦0についても、分子の有理化をするとS(a)が単調増加することがわかります。よって、S(a)が最大になるのは0≦a≦1の場合に限ります。よって、そこの領域でS'(a)=0を式変形していきます。

 

両辺を2乗したときに、できるだけ多くの項が消えるように適切に移行する必要があり経験が必要でしょうね。

 

※S(a)は連続かつ微分可能(つまり滑らかなグラフ)なので、S(a)が最大or最小になる点では必ずS'(a)=0となります。この直感的に明らかな事実には「ロルの定理」という名前が付いています。

 

(4) 誘導に従って変数変換をしていきます。tの方程式にすると、方程式の各係数が対称的な形になり、両辺をt^2で割るとzに変換できる形になります。

 

(5) (4)の方程式を解くとzが2つ求まりますが、今回調べたいのは0≦x≦1となる解だけなので、それを満たすzは1個に絞れます。

 

<筆者の解答>