このシリーズでは、大阪大学の後期の数学の問題を解いていきます。
18回目の今回は1991年です。
(1992年、1993年については問題が入手できていないので、出来次第解きます)
第1問(理学部)
割り算の余りとフィボナッチ数列の関係に関する問題です。
(1) 自然数の割り算では、余り<割る数になるので、rn<rn-1となってrnは単調減少する数列になります。なので、いつかは必ず0になる瞬間が訪れることになります。
(2)ここが一番難しい所でしょうか。
rnの設定から、rn-2 = (商)×rn-1 +rnと書け、商は必ず1以上なのでrn-2 ≧rn-1 +rnが成立し、フィボナッチ数列が使えそうな形に近づきました。しかし、このままだとフィボナッチ数列と逆方向に番号が進んでしまうので、qk=rN+2-kとして数列の進む順番をfnと揃えてあげると考えやすくなります。
(3)こちらはfnの一般項を直接求めるよりも、帰納法で証明したほうが早いと思います。
(4) (2),(3)の両方を使って示すことができます。
<筆者の解答>
第1問(工学部)
1次変換に関する問題です。
(1) AとBは積の順番を入れ替えると別物になってしまうので、単純に2項定理を使った展開ができません。ということで試しに(3A+B)^2を計算すると、これがEの定数倍となってうまく計算できます。
(2)問題文の条件から、Bの成分が満たすべき条件を詰めていきます。それを使って1次変換を実施すればよいでしょう。
<筆者の解答>
第2問(理学部)
直線の1次変換に関する問題です。
(1)lについては点(1,s)を移動させた点の軌跡、mについては点(t,1)を移動させた点の軌跡を考えてあげればよいでしょう。
(2) 4本の内交点を共有しない1本を決めて場合分けして検証していきます。
<筆者の解答>
第2問(工学部)
円周上の点の配置に関する問題です。
(1)いきなり四角形で考えるとやりづらいので、2つの三角形に分割するとよいでしょう。D1を作る時は底辺ACの三角形を、C1を作る時は底辺BD1の三角形を考えて、高さの大小がどうなるかを見ていけばよいでしょう。
(2)Cn, Dnの収束先をC∞, D∞とすると、この2点からもう点は移動しないので、AB以外の弧が3等分されていればよいわけです。
<筆者の解答>
第3問(理学部)
回転体の体積に関する問題です。
(1) θに関する式の塊、θ+αに関する式の塊を作りたいので、放物線DiとC, x軸正の部分で囲まれた部分をy軸周りに回転した立体の体積Vi(θ) (i=1,2)を考えてあげるとよいでしょう。
(2) V(θ)は微分すると単調減少することが分かるので、単純にV(0)が最大値、V(π/2-α)が最小値となります。
<筆者の解答>
第3問(工学部)
関数列の極限に関する問題です。
(1)偶関数、奇関数の性質を使って積分していきます。sin(x-t)はこのままだと扱いにくいので、加法定理で展開してしまいます。
(2)最終的にsinx/x→1に帰着させます。
<筆者の解答>
第4問
小問集合です。
(1)放物線にかかわる正三角形の面積を計算する問題です。
(ア)(イ)については典型なのでよいとして、(ウ)についてはQと接線との距離から正三角形の1辺の長さがaの式で求まるので、そこからSが求まる格好です。(エ)はSを微分すればよいでしょう。
(2)確率の問題です。
(オ)については教科書レベルであり、この結果を使って(カ)も計算できます。(キ)はネイピア数の性質を利用して極限計算していきます。
<筆者の解答>