ちょぴん先生の数学部屋

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平成の名古屋大理系後期数学 -2006年-

このシリーズでは、名古屋大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

2回目の今回は2006年です。

 

第1問(情報学科)

 

3次関数の決定問題です。

 

(i)では、a+b√2=0 (a,b:有理数)ならa=b=0という性質を、(ii)ではωが1の3乗根の一つであるという性質を利用します。

 

<筆者の解答>

 

第1問(理学部)

 

抽象的な関数に関する不等式評価の問題です。難問ですね・・・

 

(1)からして難問です。(*)は1個ずつ変数の値が増えていく不等式で、要求されている不等式はp個飛びとq個飛びになっています。(*)を定数倍して足してなんとかf(x), f(x+p), f(x+p+q)だけ残そう、という作戦で行ってもうまくいきません。

 

ここは経験が要るところなのですが、(*)をうまく移行すると、f(x+2)-f(x+1)>f(x+1)-f(x)となって、これはf(x+1)-f(x)が単調増加することを意味しています。xが大きくなるにつれて傾きがどんどん大きくなっていくので、f(x)のグラフが下凸になることが、この不等式から分かります。

 

この性質を利用すると、f(x)~f(x+p)の傾き>f(x+p)~f(x+p+q)の傾きになっていることが分かるので、これを変形すれば無事お目当ての不等式がゲットできます。

 

(2) f(x)が2次関数に限定されているので、単純にf(0)=a, f(p)=b, f(p+q)=cとなるようにf(x)の係数を決めてあげればよいでしょう。

 

(3) (2)で調べた2次関数が、(*)を満たすが与式を満たさない場合があるf(x)だろう、とアタリをつけて考えていきます。

 

与式の左辺に(2)の結果を代入すると新しく2次関数g(x)ができ、

・2次の係数=0なら直線になって、傾きが0でなければ必ずx軸と交わる

・2次の係数<0なら上凸の放物線になるので、必ず負となる領域がある

・2次の係数>0なら下凸の放物線で、判別式≧0なら0以下となる領域がある

 

という戦略で証明を進められます。

 

・・・が、最後のパターンの判別式がうまく計算できず、最後まで解き切れませんでした。すみません。

 

<筆者の解答>

 

第1問(工学部)

 

連立漸化式に関する問題です。

 

(1) 問題文の条件からa1,b1をa0,b0で表せばよいでしょう。

 

(2)ケーリーハミルトンの定理からα+βとαβの値が求まるので、それを利用すればよいでしょう。

 

(3) (2)で考えた等式の両辺に、左からMを何回も掛けて見ましょう。

 

(4) (3)の結果からan, bnが求まるので、極限計算は容易です。

 

<筆者の解答>

 

第2問(情報学科)(a)

 

三角関数の増減を調べる問題です。与える式はsinθの3次関数に直せるので、-1≦sinθ≦1でのyの増減を考えてあげましょう。aの値による場合分けが発生します。

 

<筆者の解答>

 

第2問(情報学科)(b)

 

回転体の体積に関する問題です。

 

(1)x=tでの接線の式を調べて、それが原点を通るようにtを調整します。

 

(2)定型通りの積分計算です。多項式×指数関数の形なので、部分積分を使うとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第2問(理学部)

 

コインの配置に関する場合の数の問題です。

 

P~Tへのコインの配置の仕方によってA~Eの配置の仕方が変わってくるので場合分けを行います。

 

ここは、P~Tの5枚の内表が何枚になるかで場合分けすると見通しが良くなるでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第2問(工学部)

 

角度に関する計算問題です。

 

(1)θ1=θ2+π/2から、P1とP2の座標がθ1だけで書けるので、それぞれの接線の傾きを調べてあげましょう。

 

(2) α=β+γとなることが図を描くとわかるので、加法定理で事足ります。

 

(3)tanθ1>0なので、相加相乗平均が使える形になっています。

 

<筆者の解答>

 

第3問(情報学科)

 

確率の問題です。

 

(1)n回目が表か裏で場合分けして調べると見通しが良くなります。

 

(2)(3) pnの増減は、前後の比と1との大小関係を調べるのが定石です。

 

<筆者の解答>

 

第3問(工学部)

 

立体の体積を調べる問題です。

 

(1) 線分PQのうち、Oに最も近い点と最も遠い点を考えてあげます。その際、tの値による場合分けが発生します。

 

(2) z=uでの立体の断面は、(1)で考えた断面と相似なので断面積S(u)は容易に求まり、それをuについて積分すればV(t)が求まります。

 

(3)V(t)を微分して増減を調べるのですが、V(t)がt=1/2について対称なことに気付けると見通しよく進みます。

 

<筆者の解答>

 

第4問(工学部)

 

確率の問題で、題材は情報学科の第3問と類似しています。

 

(1)回数が最小になるのは1方向だけに進むとき、回数が最大になるのはx方向にもy方向にもa-1回進むときです。

 

(2) a=3のときNの取りうる値は3,4,5だけで、N=3,5の場合の方が確率を計算しやすいので、余事象の考え方でN=4となる確率を計算するとよいでしょう。

 

(3) n回目に表になるか裏になるかで場合分けして考えるとよいでしょう。

 

(4)計算すると、ほとんどの成分が約分されてシンプルな式になります。

 

(5) 「(4)を使え」というのが結構なヒントになっています。(4)を使ってpnをpn+1に書き換えると、計算途中で期待値自身が登場する形になります。

 

<筆者の解答>