このシリーズでは、名古屋大学の後期の数学の問題を解いていきます。
3回目の今回は2005年です。
第1問(情報学科)
じゃんけんに関する確率の問題です。
(1)k人がグー(チョキ、パー)、n-k人がチョキ(パー、グー)を出せばOKです。念のためですがkの最大値はn-1人です。
(2) 全体からk≧1となる確率を引けばよいでしょう。大人数でのじゃんけんは圧倒的にあいこになりやすいので。
(3)2項係数を調整して期待値を2項定理に持ち込んで計算していきます。
<筆者の解答>
第1問(理学部)
整数問題です。
(ハ)の条件からxとyの偶奇は一致し、なおかつxとyを5で割った余りが等しいことが分かります。この2つを総合すると「xとyの1の位が等しい」とできるので、こうなる(x,y)の組み合わせを調べればOKです。
<筆者の解答>
第1問(工学部)
行列に関する問題です。
問題文にある(X+Y)(X-Y)=X^2 - Y^2は、X,Yが普通の数であれば当たり前の式ですが、行列の場合だと当たり前じゃありません。この式を処理すると、XY=YXとなるので、「XとYの積の順番を入れ替えても同じ行列になる」がクリアできてないとこの関係式は成り立たないのです。
(1)ということで、XY=YXとなるようにa,b,cの条件を決めていきます。XYとYXの2つを計算して成分比較するのですが、とにかく計算が面倒くさいの一言。
問題文には「b,cをaの式で求めろ」とあるのですが、実際には(a,b,c)の組は有限個しか出てきません。
たぶんですが、この(1)の問題文か、そもそもX,Yの成分の定義のどっちかが誤植だと思います。
(2) XY=YXが成立しているので、問題なくZ=(X+Y)^2としてしまって構わないわけです。(1)の結果の各場合に関してX+Yを調べましょう。
(3)ケーリーハミルトンの定理を使って、(1)の各場合についてX^4を計算します。
<筆者の解答>
第2問(情報学科)
回転対称性に関する問題です。
(1)反時計回りに各三角形にA0, A1, ・・・,An-1と番号を付けAkの色にakと名前を付けます。
このとき、m個分回転して完全一致するなら、a0=am, a1=am+1といった具合にakはm周期になります。
(2)360°回転すれば必ず完全一致するので、mがnの約数でないといけないと分かります。
<筆者の解答>
第2問(理学部)
関数列の一般項と、その最小値を求める問題です。
(1) あからさまに「3項間漸化式」の形をしているので、その定石通りに計算していけばよいでしょう。帰納法でも行けると思います。
(2)
(イ)n=2の場合は合成を、n=3の場合は2倍角を使うとよいです。どちらともaとbの大小による場合分けが発生します。
(ロ)正直、問題文のxnの不等式は「等号なしの不等号」の方が適切かと思います。
fn(x)を微分して値が0になるxがxnになります。(このxnはn≧4で初めて登場する値です)
(ハ)fn(xn)を計算するのみですが、どこで式変形を止めればいいかが悩みどころですね。
<筆者の解答>
第2問(工学部)
円に内接する四角形に関する問題です。
(1)四角形に外接円があるので、A+C=180°が成り立っています。これを使って余弦定理でcosCを調べればよいでしょう。
(2) sinCを求めればSが求まります。
(3) Sは実質ただの2次関数なので、平方完成で最大値の検討は事足ります。
<筆者の解答>
第3問(情報学科)(a)
領域図示の問題です。
よくある対称式かと思いきや、対称性が崩れた形をしていますね。
考え方としては、xを固定した状態でs,tを動かしたときにyの取りうる値の範囲を調べるというものになります。2文字動かすのはきついので消しやすいsを消去してあげるとよいでしょう。
こうしてyをtの関数と見なして増減を調べるのですが、少々面倒です。場合分けなど含めて息が長い問題ですが、頑張って解き切りましょう。
<筆者の解答>
第3問(情報学科)(b)
3次関数の極値に関する問題です。
f'(x)=0の解がα,βになることからaとbがαとβの式で求まるので、それを元に全て計算していくのみです。
<筆者の解答>
第3問(情報学科)(c)
無限級数の証明問題です。
(1) anに2^n×sin(x/2^n)を書けると、sinの2倍角が次々に使える形になります。
(2) log|an|を微分せよ、というヒントがあるので、まずは問題文の定義式を使ってlog|an|を微分してみましょう。すると証明したい式の左辺に近い形がゲットできます。
一方でan自体の一般項が(1)で求まっているので、それをxで微分することで上の式を別の形で表現できます。
そうすれば、あとはn→∞、x→πの極限を取るだけです。
<筆者の解答>
第3問(工学部)
面積と、その無限級数を求める問題です。
(1) f(x)を微分すればよいのですが、xの値によって絶対値の外れ方が変わるので場合分けが必要です。
(2)この手の積分は、e^(-x)sinxの微分とe^(-x)cosxの微分から原始関数を無理やり作ってあげる、というのが定石になります。もちろん部分積分を2回やるというやり方でもOKですが。
(3)nの偶奇で場合分けが生じることに注意して積分計算していきましょう。最終的には、この2者の場合分けは合流します。
<筆者の解答>