このシリーズでは、名古屋大学の後期の数学の問題を解いていきます。
7回目の今回は2001年です。
第1問(情報学科)
恒等式の問題です。
f(x)を求めるにあたって、まずはf(x)の次数の情報が欲しくなります。ですが、式だけ見ると左辺も右辺もn次式になっており(f(x)をn次式としたときに)、これだけだと次数が絞れません。
具体的に実験してみましょう。n=0,1でやってみると、左辺と右辺とで「最高次の係数が合わない」ことが分かりますので、「最高次の係数が一致するべき」という条件から、次数が絞れそうだと分かります。
こうして次数が決まれば、あとは係数比較でf(x)が決まります。
<筆者の解答>
第2問(情報学科)
3次関数の解の配置に関する問題です。
方程式の左辺の増減を調べてあげればよいでしょう。aの値による場合分けが発生することに注意です。
<筆者の解答>
第3問(情報学科)(a)
(筆者注 誤: 数直円、正: 数直線)
確率の問題です。
(1)Pk(n)について漸化式を作ると、最終的にQ(n)の漸化式に帰着できます。
(2) P0(n)+P1(n)+P2(n)=1になることに気づくと、(1)の結果からP1(n)が計算できることが分かります。
<筆者の解答>
第3問(情報学科)(b)
複素数に関する問題です。
複素数wが実数なら、wに複素共役をとっても変わらないので、w=w*となります。なので、w-w*を計算していって結果が0になることが言えればOKです。
z1~z4が、円|z-α|=r上にあるとして、z1'=z1-αとしてあげると、与式はz1たちに「'」をつけただけの全く同じ式になります。なので、α=0としても今回の問題を考えるにあたっては問題ありません。
これをもとに、w-w*をひたすら計算していきましょう。かなり大変ですが。
<筆者の解答>
第1問(工学部)
行列の対角化に関する問題です。
(1)題意を満たすk、(s,t)が存在するには、A-kEの行列式が0になっている必要があります。そこからkの値が求まることになります。
(2)与えられた2つの関係式からPを求めていきますが、1個目の式についてはPA=BPと変形してから計算すると楽になります。
(3) (4)
(2)の結果から、Pは「原点の周りに45°回転させる行列」だと分かるので、その性質を利用してあげればよいでしょう。
<筆者の解答>
第2問(工学部)
フィボナッチ数列に関する問題です。
(1) 部分分数展開を使って、足していくと次々に相殺されるようにしていきます。an→∞(n→∞)は流石に自明としてよいと思います。
(2)一度フィボナッチ数列を書き出してみるとミスがないです。式の推測の部分は多少経験が要るでしょうかね。
(3)指示通り、数学的帰納法を使って証明しますが、要所要所でanの漸化式が活用できます。
<筆者の解答>
第3問(工学部)
直交関数系に関する積分の計算問題です。
この問題のf0(x), f1(x), f2(x)のように、違う番号同士をかけて積分すると0になるような関数のセットを、「直交関数系」と呼びます。
(1) この直交性を利用してa,b,cが確定できます。
(2)(3)単純な計算問題ですが、偶関数・奇関数の性質を使うとスムーズに計算できます。
(4) これまでの計算結果をすべて利用するとIはk0,k1,k2の2次式になるので、それぞれで平方完成してあげれば最小値が求まります。
<筆者の解答>
第4問(工学部)
確率の問題です。
(1)これは教科書レベルでしょう。階乗の積の形にするメリットが特になさそうなので、Cの形のままで答えとしました。
(2)
(a)ハートm枚を一塊にして一旦並べて、その後にそのm枚の並べ方を考えてあげればよいでしょう。
(b)ハート以外のn-m枚を横一列に並べて、その隙間n-m+1個からm個を選んで1枚ずつハートを挿入してあげれば題意が実現できます。そうなると、隙間の個数よりカードの枚数が少なくないといけないことに注意が必要です。
<筆者の解答>