このシリーズでは、大阪大学の後期の数学の問題を解いていきます。
今回は1997年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)
第1問
行列に関する問題です。
(1)(2)
ケーリーハミルトンの定理からA^2=-Eと求まるので、これを利用すればよいでしょう。
(3) (2)の結果からX1~X4, X5~X8と4個セットで和を計算していくと見通しが良くなります。
<筆者の解答>
第2問
積分を使って、ネイピア数eが無理数であることを証明する問題です。
以前本ブログで「eが無理数であることの証明」を取り上げたことがありますが、それと別の証明方法です。
ネイピア数eが無理数であることの証明 - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)
(1) fn(x)は微分すると0≦x≦1で単調増加なことが分かり、そこから0≦fn(x)≦1がもとまり、端点を除いた0<x<1では0<fn(x)<1となっています。これを積分してあげれば0<an<1がわかります。
(2)部分積分を利用して漸化式を求めます。
(3) (2)で求めた漸化式を両辺n!で割れば、階差数列の形に帰着できます。
(4)これが目的の問題です。例のごとく背理法での証明になります。
もしM!eが整数だと仮定すると、(3)の結果からaMも整数になることが分かります。
しかし、それは(1)で証明した0<an<1と矛盾するわけです。
ということで、n!eが整数になるような自然数nは存在しないことが分かりました。
これで問題は解き終わったのですが、そこから先の話を少し。
もしeが有理数でp/qと書けるんだとしたら、q!はqで割り切れるのでq!eが整数となってしまうのですが、それが今回証明した事実に反するわけです。ここから、eが無理数であると証明できることになります。
<筆者の解答>
第3問
ベクトルを絡めた確率の問題です。
(1) x1~x3を実際に代入してa~cの連立方程式を解いてあげればよいです。
(2) (1)の結果からn1=n2=n3=mとなる確率がPmとなります。
(3) 直接両辺の差を計算するのは面倒なので、全部を左辺に寄せて、約分を繰り返すことでそれが1未満になることを示す方針でよいでしょう。
この不等式を繰り返し使ってはさみうちに持ち込むとPm→0が示せます。
<筆者の解答>
第4問
行列の問題です。第1問と同じ行列を題材にはしているものの、全く別の問題になっています。
(1)第1問と同じく、ケーリーハミルトンの定理からA^2=-Eがわかるので、あとは代入計算でa2m~d2mが求まります。
(2) (1)と全く同様に解けます。
(3)(4)問題文の式の無限級数を計算して、pとqの連立方程式に持ち込むのが目標です。
(2)までの結果から番号の偶奇で分けてΣ計算していきましょう。
(5) q(2)×q(4)×・・・×q(2n)は約分の繰り返しでかなりスッキリした式になります。
<筆者の解答>