ちょぴん先生の数学部屋

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平成の名古屋大理系後期数学 -1999年-

このシリーズでは、名古屋大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

今回は1999年です。

(問題を提供して下さったせがわさん、ありがとうございました)

 

第1問(情報学科)(a)

約数の和に関する問題です。

 

今回の整数の約数は全て奇数なので、約数の和の偶奇=約数の個数の偶奇となります。

なので、約数の個数が偶数になることを証明すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第1問(情報学科)(b)

絶対値付きの積分の問題です。

 

tの値によって0≦x≦1での絶対値の外れ方が変わるので、場合分けして計算しましょう。

 

<筆者の解答>

 

第2問(情報学科)(a)

三角形の面積を最小化する問題です。

 

直角三角形ABCの底辺と高さをθの式で求めて、面積をθだけで表現することを目標にするとよいです。

 

<筆者の解答>

 

第2問(情報学科)(b)

複素数の集合に関する問題です。

 

まずは、A~Dに属するzがどんな複素数なのか文字式で書いてみるとよいです。そうすると、Eが「実部と虚部が、整数/√2か、√3/2×整数の形となる複素数の集合」だとわかります。

 

この整数の偶奇まで気にすると、zとしてあり得るパターンは16個しかないので、17こ目の複素数を選ぶと、上記16パターンのどれかには必ず該当するわけです。同じパターン同士の複素数の中点は必ずEの形になるので、証明完了です。

 

いわゆる「鳩ノ巣原理」というやつです。

 

<筆者の解答>

 

第3問(情報学科)

確率の問題です。

 

(1)は教科書レベルであり、(2)については前後の比を取ってそれと1との大小を調べて増減を調べるのが定石です。

 

<筆者の解答>

 

第1問(工学部)

ベクトルの問題です。

 

(1)始点が動点だと分かりにくいので、既存の定点に変えていきます。できるだけkがばらけないように、Aを始点にすると見通しが良くなります。

 

(2) APベクトルをABとADの和で表現して、それらの係数の和が1になるkを求める、という戦略で解いていきます。

 

(3) BA=BCの時△ABCはBを頂角とする二等辺三角形になるので、BPが∠BACを2等分するならBPを延長した先にACの中点があることになります。

 

そうなるようにkを決めていきます。

 

<筆者の解答>

 

第2問(工学部)

三角関数積分に関する問題です。

 

(1)積和の公式で和の形に変えていきますが、積分すると分母にm-nが登場する関係からm=nのときとm≠nのときで場合分けが発生します。

 

(2) 部分積分でよいでしょう。

 

(3)

(1)(2)の結果を利用して体積を計算していきます。最終的にはa1~aNによる平方完成で最小値が求まることになります。

 

<筆者の解答>

 

第3問(工学部)

ニュートン法に関する問題です。

 

(1)これは頻出する式です。接線の式から容易に求まります。このようにしてcnを決めていくことでf(x)=0の解を調べる方法を「ニュートン法」と呼びます。

 

(2)

(a) c1の正負によって場合分けしていきます。

(b) 最低限c1+c2=0とならないといけないので、(a)で求めた式を使ってc1を求めていきます。あとは、求まったc1がきちんとcn+cn+1 =0となることを確かめて終了です。

 

(c) これは難問です。私自身、完全には解けていません。申し訳ありません。。。

 

まずf(x)の場合分けが面倒に感じるわけですが、よく見るとf(x)はx=0に対して点対称になっていることが分かります。

なので、an=|cn|としてcnの符号の問題を解消しておくと見通しが良くなります。

 

このとき、anの漸化式から、もしanが収束するんだとすると、その収束値は0,1/3,1の3通りしかありえないことが分かります。ここから、a1の値によって場合分けしていきます。

a1=0なら、anは恒等的に0なので0に収束するのは当たり前。

0<a1<1/3なら、anは単調減少ですべて0<an<1/3を満たすので、それをつかうとはさみうちでan→0が示せます。

a1=1/3なら、(b)からanは恒等的に1/3なので不適

a1≧1なら、anは単調減少で常にan≧1となるので、それを使うとan→1が示せます。

√2-1≦a1<1なら、a2≧1となるので、a1≧1と同じ状況に。

 

ここまでは調べられました。

 

残すは1/3<a1<√2-1の場合で、こちらもおそらくいつかはanの値が1を超えてa1≧1の状況に帰着できるので、1に収束、と言えそうなのですが、うまい証明方法が思いつきませんでした。

 

なので、答えはおそらく0≦|c1|<1/3なのですが、1/3<a1<√2-1の場合に0に収束する場合がないことの確証が持てない・・・という感じです。

 

<筆者の解答>

 

第4問(工学部)

確率の問題です。

 

(1)Bが勝つ条件は、最初は両方チョキが続いて最終的にA:グー,B:パーとなることなので、何回目のじゃんけんで勝つかで場合分けしていきます。

 

(2)カードを戻す場合も考え方は同様です。

 

(3) (2)の和を取ってあげればよいです。

 

(4) 1回のじゃんけんでAが勝つ確率、あいこになる確率、Bが勝つ確率を調べればよいです。

 

<筆者の解答>