ちょぴん先生の数学部屋

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平成の名古屋大理系後期数学 -1997年-

このシリーズでは、名古屋大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

今回は1997年です。

(問題を提供して下さったせがわさん、ありがとうございました)

 

第1問(情報学科)

2次方程式に関する問題です。

 

判別式がn≧1でつねに0以上となるようなkの条件を調べてあげればよいでしょう。判別式はnの2次式になるので、軸の位置に注意して増減を考えてあげればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第2問(情報学科)(a)

パラメータ表示に関する問題です。

 

s,tは全てcos2θ, sin2θの式に直せるので、θを消去してあげると(s,t)の軌跡が求まります。軌跡は円の全周となるので、s,tの最大最小も容易に分かります。

 

<筆者の解答>

 

第2問(情報学科)(b)

線分の長さに関する問題です。

lと円の接点を(cosθ, sinθ)と文字で置くと見通しが良くなります。

 

その上で、PR, QSをθの式で表現して、θを動かして最小化していきます。

 

(1) cosθの2次関数になるので平方完成すればよいのですが、最小となるcosθの値が絶対値1以下になっているかの確認が必要です。

 

(2)絶対値を場合分けで外していきます。

 

<筆者の解答>

 

第3問(情報学科)(a)

不等式証明と、解の配置に関する問題です。

 

(1) 左辺を微分して増減を調べる形になりますが、今回は2回微分まで必要です。

 

(2) (1)を生かせるように、両辺対数を取ったうえで増減を調べるとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第3問(情報学科)(b)

等比数列、等差数列に関する問題です。

 

a,b,cが等比数列をなすときにはb^2=ac, a,b,cが等差数列をなすときには2b=a+cを満たすのでこれを処理していくことになりますが、かなり面倒です。

 

よくみるとyだけが仲間外れになっているので、x+y+z=πを使ってyを消去しよう、という発想で式変形していくと見通しが良くなります。

 

色々弄ってるうちに、cosxとcoszの和と積がcosyの式で書けたので、「cosxとcoszをcosyだけの式で書こう」という発想に至り、その方針で解いています。

 

<筆者の解答>

 

第3問(情報学科)(c)

確率の問題です。

 

(1)具体的に表裏の出方を列挙するとよいです。

 

(2)実質「表がk回連続で出る出方」を数える、場合の数の問題です。

 

一見すると漸化式を使いそうですがうまくいきません。ここは、直接場合の数から確率を計算して、最後に引き算を行う、という手順で考えていきます。検討していくと、Pk,kだけが例外扱いだと分かります。

 

(3) (2)ができていれば瞬殺です。

 

<筆者の解答>

 

第1問(工学部)

ベクトルに関する問題です。

 

(1) OP=(1-s)OA+sOBと、OQ=(1-t)OP+tCを利用すればよいです。

 

(2) OQ^2を計算して平方完成していきます。

 

<筆者の解答>

 

第2問(工学部)

円と接線に関する問題です。

 

(1)Cの半径をrとしたとき、y=bxとCの中心の距離がrとなる条件を考えればよいでしょう。連立したときに重解を持つ条件を考えてもOKです。

 

(2)実際に接点のx座標を計算すると、相加相乗平均が使える形に帰着できます。

 

(3)定石通りに積分計算をしていきます。

 

<筆者の解答>

 

第3問(工学部)

複雑な連立方程式に関する問題で、おそらく1つめの方程式の最後の対数の底は「x」が正しいと思います。(もし問題文の通り底がeだとすると、(1)で対数関数がどう頑張っても消えず、(3)の見通しもよろしくないからです)

 

(1)全ての項を底xの対数にまとめてしまうとよいでしょう。

 

(2) 2×(5+3√3)=(1+√3)^3と気付けたかがポイントです。

 

(3)連立してあげるとxがaの式で綺麗に求まります。このときx≠1からaの範囲が決まります。

 

<筆者の解答>

(※もし底がeのままだと・・・下記のように対数が消えず、とてもじゃないが連立方程式が解けそうにありません)

 

第4問(工学部)

確率の問題です。

 

黒の方が個数が少ないので、X≧Yとなるのは相当レアなんじゃないかと想像できます。

なので、X>Yとなる並べ方とX=Yとなる並べ方を調べて、X<Yは余事象で処理する方針で進めます。

 

基本的には、白を横一列に並べた後、その隙間に黒を挿入する、という考え方で進め、「黒をいくつに分割するか?」「最低限黒が入らないといけない隙間がいくつあるか?」に注目するとよいでしょう。

 

<筆者の解答>