ちょぴん先生の数学部屋

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令和の医科歯科大数学 -2022年-

このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。

 

初回の今回は2022年です。

第1問

 

三角関数で座標が書かれた点群のうち、異なるものの個数を数える問題です。

1問目にして本セットで最難問です。

 

(1) とりあえず登場する点の座標を全部調べて図示してあげればよいです。

 

(2)ここからが本番という感じです。

Pijは、x座標がcosの和、y座標がsinの和で書かれています。基本的に「相異なるものを調べる」という趣旨で、「和で書かれている」というのは自由度が高すぎて相性が悪いものです。ということで、何とか積の形に変えてあげると見通しが良くなりそうです。

 

各座標で積和の公式を使ってあげると綺麗に積の形に直せるばかりでなく、ベクトルOPijが、M=i+j, N=i-jと変換すると、大きさが|2cosNπ/n|, 向きが(cosMπ/n, sinMπ/n)のベクトルであると分かります。これで大きさと向きに切り分けられたので「相異なるベクトル」を探しやすくなることになります。

 

但し、M=i+j, N=i-jという変換から「MとNは偶奇が一致する」という点、大きさが0だと向きの情報が無意味になる、という2点に要注意です。

 

その上で、n=4のときに、大きさと向きが相異なるようなM,Nの値を調べてあげればよいでしょう。

 

(3) この問題だけ独立したような設問です。問題文のままだと抽象的なので、座標を設定して議論するとよいでしょう。

 

(4) (2)と同じ要領で調べていきますが、nの偶奇による場合分けが発生することに注意です。答案では安全サイドでnを4で割った余りで分類した場合分けをしています。

 

(4)を解くにあたって(3)を全く使用しなかったので、おそらく上記の解法は大学の意図した解法ではないんだと思います。河合塾の解答速報を見ると、和のままの状態で解く解法を採用していて、そのときには(3)が誘導になるようです。

 

参考:河合塾の解答

i01-21a.pdf (kawai-juku.ac.jp)

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

放物線に関する、法線・角の2等分線に関する問題です。背景に「放物面での光の反射」があると思われる問題です。

 

背景については、本ブログでも記事を書いているのでご参考までに。

アンテナの形状はなぜ放物面なのか? - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

 

(1)Pの式をxで微分すれば接線の傾きが分かるので、それを利用すれば法線が求まります。

 

(2) 角度を設定してtanの加法定理を利用して解くのが定石でしょう。a=1のみ例外扱いです。このとき、ABがaによらず必ず(1,0)を通るというのが、今回の問題とは直接関係ないですが重要な点で、この(1,0)は放物線Pの焦点となっています。

 

(3) (2)の結果からBの座標とnBの式が求まるので、(2)と同様にtanの加法定理を利用して解いていきます。最終的にrBはx軸と平行になるというのが重要なポイントです。

 

(4) S1については1/6公式で、S2については台形の面積を利用するとよいでしょう。

すると、なんとS1:S2はaによらず常に一定になることが分かります。この問題におけるx=-1は、放物線Pの準線になっています。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

抽象的な関数に関する問題です。

 

(1)3番目の条件を式にして処理していけばよいです。

 

(2) 1-xが掛け算されていることで分母が綺麗に約分されて、結局「√2次関数」の積分を計算することになります。このタイプはルートの中身を平方完成するのが定石です。

 

(3)面積を計算する際に、f(x)の積分の値が必要になります。f(x)の形さえ分かってないのにどうやって計算するんだ!?ってなりますが、ここで(2)がヒントになってきます。

f(x)= -(1-x)'f(x)と無理やり変形すれば、部分積分で(2)の形を登場させることができるというわけです。

 

<筆者の解答>