このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。
5回目の今回は2018年です。
第1問
(訂正: (3)の右辺の番号は、n+1ではなくn+5)
ユークリッドの互除法とフィボナッチ数列を絡めた証明問題です。
rnは要するにユークリッドの互除法であり、fnはフィボナッチ数列です。
(1)実際にフィボナッチ数列の漸化式を利用すると、rn=f100-nだと予想できるので、帰納法で示します。
ただ、この関係式からN=100と即決するのはだめで、r97=2, r98=1となるので実際にはr99=0となります。
(2)発想力が必要な難問です。
まずはRの式を「割られる数=商×割る数+余り」の形に直してみると、フィボナッチ数列との関係が見えてくるかもしれません。実際、rn-1≧rn+ rn-1となっています。
この不等式からrN-n≧fn+1が予想できるので、それを帰納法で証明していきます。
(3) fn+5を実際に番号がn以下になるまで崩していくと、最終的に5fn-1>2fnが証明できればfn+5>10fnが証明できたことになります。
(4)
(2), (3)で証明した内容を利用して示していきます。
(2)からrをfで評価式に直せて、(3)から5周期の足し算で考えればよいと分かります。最終的に1/f2+・・・1/f6を初項とした公比1/10の無限等比級数を考えることになります。
<筆者の解答>
第2問
外接する球たちと立方体について考える問題です。
(1) 中心間距離と半径の和・差の条件式を考えればよいでしょう。
(2)これはr1≦r≦1という条件があるからこそ解きやすい問題となっています(もしrの範囲に制限がなかったら相当エグい問題になっていたはずです)
Qは原点を中心とした1辺の長さ2の立方体で、r≦1だとS0がQの中にすっぽり収まります。
さらにA~Dは全部Qの頂点で、r≧r1のときにはSA~SDに重なりがありません。なので、SA~SDとQの共通部分は、1/8球4つ分となります。
これでV1が計算できるので、rで微分して最小値を探ります。
(3)この問題は、正直自信がありません。
「S0と共有点を持つ全ての平面が、SA~SDのどれかと交わりを持つrの条件」という問題文のままだと手が付けづらいので、逆の「SA~SDのどれとも交わりを持たない、S0と共有点を持つ平面が構成できるrの条件」と読み替えるとよいです。
つまり、このような平面をax+by+cz+d=0としたときに、実数a~dが存在できるrの下限こそがr3になる、という視点の転換です。
(このとき、a^2+b^2+c^2=1としても一般性を失いません。こうすると式が多少綺麗になります)
S0と交わる条件、SA~SDと交わらない条件から、5つの不等式ができるのでそれを整理する方針で進めますが、後者の4つについては2乗して和を取るとdだけの条件にできます。これと前者を組み合わせることで、dが存在できるrの下限が求まります。
こうして求まった下限を即座にr3としてしまっているのが「自信のない」個所になります。
あくまで求まったのは「dが存在する」条件(必要条件)にすぎないので、これだけで果たしてa~cも存在するのか(十分性)がチェックできてないのです。この方法が分からなかったためやむなくこうしています。
<筆者の解答>
第3問
逆関数に関する問題です。
(1)f(x)を微分してグラフを書けばよいでしょう。
(2)一見して複雑そうですが、よく見ると、(u+1)/uはf'(u)の逆数、カッコの中身はp-f(u)となっているので、P( g(p),p), U(u, f(u) )の間のy=f(x)のグラフ・接線の傾きと直線PUの傾きの大小関係を調べるんじゃないか、と経験を積むと分かります。
実際に、f(x)が下に凸なので、それを利用すると傾きの大小関係を視覚的に調べられます。
(3) 逆関数であるg(x)の積分が要求されますが、これは長方形の面積を利用するとf(x)の積分に直すことができます。
<筆者の解答>