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令和の山梨大医学部後期数学 -2020年-

このシリーズでは、山梨大学医学部後期の数学の問題を解いていきます。

 

3回目の今回は2020年です。

第1問(1)

多項式の割り算の問題です。

 

言うまでもなく因数定理を使えばよいわけですが、今回はα^2-α+1=0となる虚数αを1だけ考えてあげれば解く事ができます。このαはα^3=-1を満たすので左辺も楽に計算できます。2次式での割り算なので、余りは1次式以下なことに注意です。

 

<筆者の解答>

 

第1問(2)

無理数の整数部分に関する問題です。

 

44^2<2020<45^2なので、√2020の整数部分aは44, 小数部分bは√2020 -44だと分かります。これを用いて計算すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第1問(3)

無限級数の計算問題です。

 

logの足し算は真数の掛け算に直ることを利用して計算していくとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第1問(4)

接線の計算問題です。

 

dy/dxをtの式で求めて、(1,√2)に対応するtを調べれば終了です。

 

<筆者の解答>

 

第1問(5)

放物線の焦点と準線を求める問題です。

 

与式を平方完成すると、放物線y^2=5xを平行移動した曲線だと分かります。

 

ここで知識にはなりますが、y^2=4pxの焦点は(p,0), 準線はx=-pとなります。

 

<筆者の解答>

 

第1問(6)

原点から平面に下した垂線の足を求める問題です。

 

αの式を計算できれば、αの法線ベクトルが求まって見通しが良くなります。

 

<筆者の解答>

 

第2問(1)

 

複素数平面での面積の計算問題です。

 

方程式は、右辺を極形式に直すことで解くことができ、Sは結局1辺の長さが2√2の正方形になります。これをもとに円の通過領域を考えてあげればよいです。

 

中央部に正方形の穴が空くことに注意です。

 

<筆者の解答>

 

第2問(2)

 

積分の極限を計算する問題です。

 

Mの状態で積分してからM→∞としてもよいのですが、そうすると式の形があまりに複雑になってミスしやすいです。ここは、最初からM→∞とした状態で積分計算をするとよいです。このような積分区間で極限を取る積分を「広義積分」とよび、詳細は大学で習うことになります。

(今回は穴埋めで答える問題なので、高校数学範囲外でも無問題です)

 

基本的には部分積分の繰り返しで解いていくことになりますが、∫y^n×e^(-y)dy=n! (積分範囲は0から∞まで)となることを使うと瞬殺できます。

 

これは「ガンマ関数」と呼ばれる「階乗の一般化」にあたる関数になります。このガンマ関数を利用することで(1/2)!なんて値も計算できるようになったりします。

 

<筆者の解答>

 

第2問(3)

三角関数の積を計算する問題です。これは発想力の必要な難問ですね。

 

tan20~tan25はいずれも有名角ではないので、値を直接計算することができません。

ただ、この数の近くに有名角tan22.5(22.5は45の半分)があることに気付けると、この問題は進展します。

 

与式をよく見ると、{1+tan(22.5+α) }{1+tan(22.5-α) }という形の式にα=0.5, 1.5, 2.5を入れたものをかけたものになっています。

ということは、{1+tan(22.5+α) }{1+tan(22.5-α) }が何かしら綺麗な式になってくれるんじゃないか?と期待できるわけです。その期待にすがって計算を進めると、なんとαによらない定数になります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

確率の問題です。

 

平均点のままだと考えにくいので、n=2のときは合計が148点以上、n=3のときは合計が222点以上になるような各点数の選び方を虱潰しに調べていきます。

 

調べるコツは、最低得点で場合分けすることです。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

絶対値付きの方程式の解の個数を調べる問題です。

 

2次方程式のまま「軸の位置」「判別式」「端点の位置」・・・などと調べていくのは骨が折れます。この手の問題は、出来る限り「xの式=a」という定数分離に持ち込んで視覚的に解くのが定石です。

 

|x|以外の部分が綺麗に平方完成できるので、結局a=x±√|x|と考えやすい式に直ります。

±と2通りの式があるので、y=x+√|x|のグラフ、y=x-√|x|のグラフのいずれかとy=aのグラフが少なくとも1点で交わるaの条件を調べればよいことになります。

 

なので、y=x+√|x|のグラフ、y=x-√|x|のグラフの概形をそれぞれ調べていきましょう。

 

<筆者の解答>

 

第5問

関数のグラフの形状と積分を計算する問題です。

 

(1) f'(x)とf''(x)を計算する典型問題です。

 

(2) 分子が分母の微分の形になるように分母分子にうまいこと関数をかけてあげることで、置換積分が使えるようになります。

 

<筆者の解答>

 

第6問

 

n進数で書かれた「レピュニット数(1を並べてできる数)」に関する問題です。

 

n進数のままでも今回の問題は考えられますが、不安なら親しんだ10進法に直すとよいでしょう。

 

10進法に直すと、xk= n^(k-1)+n^(k-2)+・・・・+n^2+n+1となります。

 

(1) a=Mb+l (Mは0以上の整数、lは0以上b-1以下の整数)としてあげると見通しが良くなります。xaはa個の項の足し算になっていますが、これを先頭からb個ずつに区切って考えることで、xaをxbで割った余りがxlとなることが分かります。

 

これは、n進法の1を並べた形のままで考えても十分に理解できるでしょう。

 

(2) (1)の結果から、aとbの最大公約数がdなら、xaとxbの最大公約数はxdとなります。

よって、ユークリッドの互除法で、3811と1073の最大公約数を調べていけばよいことになります。

 

<筆者の解答>