ちょぴん先生の数学部屋

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平成の山梨大医学部後期数学 -2009年-

このシリーズでは、山梨大学医学部後期の数学の問題を解いていきます。

 

14回目の今回は2009年です。

第1問(1)

確率の問題です。

 

Xが6以上であることに注意して、X≦kになる確率を順に調べていくほかないです。それぞれX=kとなる3枚の組み合わせを具体的に列挙するとよいです。

 

<筆者の解答>

 

第1問(2)

行列に関する問題です。

 

「a~dで表す」となっているので、右辺に逆行列をかけて処理していくという発想になります。右辺のα,βの行列だけにしてしまうと左辺がヘビーになってしまうので、逆行列をかけて移項するのは回転行列だけにするのが良いです。すると、左辺はほどほどの複雑さになり、右辺はかなりシンプルな式になります。この状態で成分比較するとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第1問(3)

行列の累乗に関する問題です。

 

Xを成分表示することでXが直接求まります。するとXは単位行列Eと残りかすの和に分割できるので、その状態で2項定理を使うと見通しが良くなります(帰納法で示すのもあり)。

 

<筆者の解答>

 

第1問(4)

数列に関する問題です。

 

xnもynも一般項が綺麗に求まるわけでもないので、xn^2+yn^2の結果を1から順番に調べるのが一番確実でしょうね。正直何を意図した問題なのかよく分からない悪問ですね。

 

<筆者の解答>

 

第1問(5)

積分の計算問題です。

 

tanのままだと積分がしにくいので、cosの式に書き換えていくのがポイントです。どの項も1/(cosx)^2nの積分となりますが、(tanx)'=1/(cosx)^2の部分積分を使って漸化式を作って計算すると楽です。

 

<筆者の解答>

 

第2問

格子点に関する確率の問題で、(3)は捨て問ですね。

 

(1)Snに含まれる格子点の数snは縦横4n+1個ずつ計sn=(4n+1)^2個あります。

Tnに含まれる格子点の数tnについては、直線x=k上にあるものの個数を数えることでガウス記号を含んだ式で表現できます。

Unに含まれる格子点の数unについては、tnを利用すればよく、un=t2n-tnで計算できます。

 

あとはn=5を代入して具体的に計算すればよいでしょう。

 

(2) ガウス記号を不等式評価することで、区分求積法を使ったはさみうちに持ち込めばOKです。

 

qnについては、t2n/snの極限を計算することで間接的に計算するとよいです。こちらで区分求積法を使う時は、k=1,2,,,,,2nとなっているので、1/nの部分を1/2nにする必要があります。

 

(3)これは残念ながら私の力量では解くことができませんでした。

 

pn+qn=t2n/snを評価していくのですが、「積分の形で上から押さえる」というおそらく想定しうる限り最も精度の高い最善な評価方法でもπ/4よりも大きくなってしまい、詰んでしまったという形です。

 

もっと精度の高い評価が求められるのだと思いますが、πを出現させるには、「√の形<積分」の方針を変えるわけにもいかず、どうにもならなくなりましたね。。。

 

[追記]

π/4 (1/4円の面積)と短冊の和との差を詳細に評価することで、一応示すことができました。ただ、これでも厳密性には欠ける部分があります。。。いずれにせよ、この(3)が捨て問であることには変わりないですね。

 

<筆者の解答>

 

※(3)の初稿です。いきなり積分で評価するとπ/4より大きな式となって詰んでしまいます。

 

第3問

行列の問題で、こちらは「計算地獄」という趣の問題です。

 

(1)移項すると、結局A-Eの逆行列を考えることになります。ということでA-Eの行列式が0になってしまうβ=1の場合だけ例外扱いしないといけません。

β=1の場合は、t=1のときだけ解が存在します。

 

(2)ケーリーハミルトンの定理からA^2をA,Eの式で表現できるので、それを使ってA^nの形を推測して、帰納法で示していきます。ただ、法則性の発見にはある程度の経験値が必要かもしれません。

 

(3)

(1)と同様に今度はA^n -Eの逆行列を考えていきます。この逆行列が存在すれば(un, vn)は一意に定まりますので、行列式が0にならないことを示していきます。なのですが、この行列式の計算が、中々に計算地獄です。結果(1-α^n)(1-β^n)と求まり、結局α^nやβ^nが0にならないことが分かればOKとなります。ここで、「A^nが収束する」という条件が生きてくることになります。

 

あとは、逆行列から(un, vn)が具体的に計算できるので、極限を計算すれば終了です。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

図形の総合問題で、(1)~(2)を除けば、ほとんど互いに独立した小問となっています。

 

(1)Aのy=tでの接線ltの式を調べ、OPの中点がlt上にある、OPがltと垂直、という2条件を処理していきます。

 

(2) (1)の結果を使ってS(u)を積分計算で調べていきますが、置換積分を行うと、結局(sinθ)^4の積分となります。三角関数の累乗のままだと扱いにくいので、できる限り倍角の和に分解することを心がけましょう。

 

(3) Dはy=x^2となるので、Aとの交点と上下関係を確認して積分計算します。ルートの中にマイナスが入っているのが嫌らしいので、置換するとよいでしょう。

 

(4)回転軸が斜めになっているのが考えにくいポイントなので、全体を-45°原点の周りに回転して回転軸をx軸にしてしまうとよいでしょう。その際Dの回転先はパラメータ表示の形で表現しておけば体積計算には十分です。

 

<筆者の解答>