ちょぴん先生の数学部屋

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平成の山梨大医学部後期数学 -2008年-

このシリーズでは、山梨大学医学部後期の数学の問題を解いていきます。

 

15回目の今回は2008年です。

(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます)

第1問(1)

期待値の問題です。

 

Y,Z,Wの確率分布を計算して期待値を求める、一本道の問題です。

 

<筆者の解答>

 

第1問(2)

回転移動・対称移動の行列に関する問題です。

 

R(θ)については知識問題とも言えますが、加法定理を考えることできちんと導出ができます。S(θ)については(a,b)が(X,Y)に移るとして、「中点が直線上にある」「線分と直線が垂直である」の2条件から解いていきます。

 

シ~ソは計算あるのみです。

 

<筆者の解答>

 

第1問(3)

指数関数×三角関数微分に関する問題です。

 

直接17回微分するのはかなり骨が折れるので、工夫が必要です。

 

おすすめは、大学範囲にはなりますが「オイラーの公式」を利用する方法です。こうすることで、関数を指数関数だけに統合できるので、微分が非常に楽になります。

 

オイラーの公式を使わない高校範囲では、ライプニッツの公式を使う方法がありますが、こちらはかなり手間がかかります。

 

この手の問題は山梨医は頻出なので、オイラーの公式を使う方法に慣れておくとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

ライプニッツの公式を使った別解です。

 

第1問(4)

数列の最大値を考える問題です。

 

この手の問題は、前後の項で比を取って1との大小関係を比較する、というのが定石です。

 

<筆者の解答>

 

第2問

確率の問題です。

 

(1)~(3)

いずれも、出てくる数字の組み合わせ数を考慮した上で、その組み合わせを固定したときに、(k種類以下になる確率)ー(ちょうどk-1種類)ー(ちょうどk-2種類)ー・・・-(ちょうど1種類)のように確率計算していくとよいでしょう。

 

(2)を解く際には(1)の結果を、(3)を解く際には(2)の結果を利用すると効率がいいです。

 

(4)数列の最大最小を考える問題では、前後の差を取るか比をとるかの2択ですが、今回は比をとっても御利益がないので差を取って考えます。

 

実質的に複数の等比数列の混じった数列の符号を調べていくのですが、簡単には解けない形なので、実際に値を代入して実験する必要があります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

行列に関する問題です。

 

(1) PQ=QPを実際に計算して成分比較をしていきますが、tが0か否かによる場合分けが発生することに注意です。

 

(2)この大問の山場の小問です。

行列は基本的に「足し算」と相性が悪い演算なので、A^2とP^2を実際に計算して成分比較をしていくほかありません。

 

(1)で残りの成分比較をすることでy=zがx,w,tの式で表現できることを使うとP^2を計算できます。

 

成分比較の際にはa+dが0か否かによる場合分けが発生し、結論から言うとa+d≠0だと不適なことを証明してく流れになります。

 

答案ではa+dの値を直接調べるところまで行こうとしてますが、よくよく考えると、2乗の和=0となっているので、元の数が全て0になってないといけなくて、そうなりえない、という形で不適が示せましたね・・・

 

(3)(4)

(2)ができていればほとんどおまけのような問題です。

a+d=0が(2)から分かり、そのときにx^2=w^2が成立するので、x=wとなるパターンとx=-wとなるパターンに分かれていきます。

 

<筆者の解答>

 

第4問

積分で書かれた関数の最大値を考える問題です。

 

(1)t=(x-b)/aと変数変換すると見通しがよく、さらに偶関数・奇関数の知識を使うと計算が楽になります。

 

(2) sinx/x→1 (x→0)を利用する形に帰着できます。

 

(3)h(x)の増減を調べてあげればよく、I(a)を微分するとh(a)が登場してきます。

実はaを正の範囲全体で動かすとI(a)の極大値は複数出てくるのですが、I(a)自体が反比例のグラフで上から押さえつけられたグラフの形状となるので、最初にh(a)=0となるa=cで最大、ということになります。

 

(4) J(a)を計算するとI(a)をsinbで割ったものになる、と気付ければ瞬殺です。

 

<筆者の解答>