ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の山梨大医学部後期数学 -2000年-

このシリーズでは、山梨大学医学部後期の数学の問題を解いていきます。

 

20回目の今回は2000年です。

(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)

第1問

確率の問題です。

ワインの飲み比べを題材にしていて、実在しているようです。

200銘柄味わい尽くせる!? 「勝沼 ぶどうの丘」で山梨産ワインを飲み比べ | たびらい (tabirai.net)

私はワインどころかお酒をほとんど飲まない人間なので、このコンテストにもし参加すれば、問題文の状況と同じように全部当てずっぽうで答えるでしょうね笑

 

実質答え方の場合の数を数える問題で、小問数が(9)まであるという前代未聞の多さですね。

以後、銘柄A,B,C,・・・が左から順番にグラスに注がれているとして考えていきます。

 

(1)答え方は全部で8!通りあり、全問正解は当然1通りだけです。

 

(2)よくよく考えると、ちょうどn-1個だけ正解することはありえないと分かります。

 

(3)6つ正解する場合、外した2つに関してはちょうど逆の関係になっていることが分かります。

 

(4)~(6)

各場合について、全部外すような答え方を全て列挙していきます。

ここまでの結果から、(8)で登場するf(k)は、f(0)=1, f(1)=0, f(2)=1, f(3)=2, f(4)=9, f(5)=44であることが分かります。

 

(7)n=8のときちょうど3つ正解するなら、不正解となる残り5つの答え方はf(5)通りあることが分かります。

 

(8)申し訳ありません。この問題は最後まで解けておりません。

 

方針としては、k個銘柄がある状態でk+1個目を追加する、という漸化式的な考え方で最初考えましたが、行き詰まってしまいました。

 

ということで、方針転換してf(k)を直接計算して、f(k-1), f(k-2)の式で・・・と考えることにしました。結果f(k)=k! -ΣkCl ×f(k-l) (全部の答え方から、l個正解する答え方を全て引く、という発想です)が分かったものの、ここからf(k-1), f(k-2)だけの式にすることがどう頑張っても無理だった。。。。という感じです。

 

ただ、f(k)=k! -ΣkCl ×f(k-l)が分かれば(9)は力づくで解けますので、悲観しなくてよかったです。

 

[追記]

この小問は、実質「完全順列」を考える問題で、一般項の導出方法が以下のサイトに出ていました。

完全順列の一般項|思考力を鍛える数学 (mathlion.jp)

 

(9) 1個だけ正解する答え方は8f(7)通りなので、実質f(7)を求める問題に帰着します。

 

<筆者の解答>

 

第2問

点の軌跡に関する問題です。

 

(1)lが「y軸と平行な場合」だけ例外扱いして、lをy=mx+1としてPQの中点の座標をmの式で求めていきます。解と係数の関係を使うと見通しが良いです。

 

(2) (1)の結果からmを消去していきますが、ところどころ例外処理が必要です。

 

<筆者の解答>

 

第3問

ガウス関数に関する問題です。この問題におけるf(x)はガウス関数と言って、応用上非常に重要な関数です。

 

(1) f'(x)を調べればよいでしょう。答案では凹凸が見れるようにf''(x)まで計算しています。

 

(2)極限を取る前の積分を計算しきることに尽きます。s=t-aと変換して部分積分を駆使すればよいですね。

 

ちなみに、問題文の前半のヒントはガウス積分という有名な積分結果です。

ガウス積分 ~統計学で最も重要な積分~ - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

 

<筆者の解答>

 

第4問

複雑な関数を題材にした面積の不等式評価に関する問題です。

 

(1)x→0の極限はネイピア数eの定義を利用していきます。x→e-1の極限は特に不定形になることもなく素直に代入すればOKな形です。

 

(2)f'(x)を計算して、その符号をさらに微分することで調べていくのですが、計算がかなり煩雑です。

 

(3) 区間を区切って和を計算することでSn-Sを直接nの式として計算することができます。

あとは、各辺で差を取って符号を確認したいのですが、そのためには「n>~」という問題文の不等式を変形する必要があり、その際に(1)(2)の結果が絡んできます。

 

<筆者の解答>