このシリーズでは、東京慈恵会医科大学の数学の問題を解いていきます。
3回目の今回は2020年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
第1問
確率の問題です。
アについては、最初の状態から1回の操作でどのように変化するかを全て調べていくことで求まります。
同様にイを考えようとすると分岐の仕方が膨大になってしまうので、Aの中身が全部白になりえる状態だけをピックアップして調べていくとよいでしょう。具体的には、Aから2個取り出した時点でAの中身が白だけになっていないといけないので、2回目に入る時点で赤の個数が2個以下でないといけません。
<筆者の解答>
第2問
関数列の収束に関する問題です。
(1) これは当然(2)にむけての誘導となる設問です。各辺の差を取って微分して増減を調べる典型問題です。
(2) fn(x)に対数を取ってあげることで、logの和に変えることができます。そこに(1)の不等式を適用してあげれば、log( fn(x) )を不等式評価出来て、はさみうちからf(x)を調べられる、という流れは容易に想像できます。
このとき、右辺については素直な区分求積法で極限を調べられます(短冊の幅はうまく調整する必要がありますが)が、左辺がそのままでは区分求積法が使えない形になっています。(分母のnを括りだすと、Σの中身に1/nという余分な項が残ってしまうため)
なので、左辺をうまく下から押さえてから極限を取らないといけないということになります。右辺がxlogpとなるので、左辺も極限を取るとlogが登場するのが望ましいわけです。
シグマの中身を小さくしようとしてもうまくいかないので、いっそΣ全体で考えられないかと思うわけですが、そうすると、「面積の大小関係から、1/1次式の積分の形で下から押さえる」という発想を思いつくことになります。
こうすることで、うまくはさみうちに持ち込めてf(x)が求まることになります。
<筆者の解答>
第3問
整数問題です。
(1) a=2^n×A (A:奇数)と表せることに気付けるかが最大のポイントです。これが分かれば、あとはbの偶奇で場合分けをすればよいでしょう。
(2)小数第n位が5になってそこで打ち止めになる有限小数rは、実験すると、r=(M+1/2)÷10^(n-1) (M:整数)の形で書けることが分かります。
今回は、「anをうまく決めてあげると、与式=rとなるようなMが見つかる」という発想で考えればよく、(1)を参考にすると、bが奇数の時はan=2^n×An(An:奇数)、bが偶数の時はan=2^(n-1)×An(An:奇数)とすればよいと分かります。(※後者の場合はn=2のときだけうまくいきません)
<筆者の解答>
第4問
放物面に内接する正四面体に関する問題です。
(1)Sも正四面体もy軸周りの回転対称性があるので、A,B,Cは全て同じy座標を持つと考えることができます。そのもとで、A~Cの座標を文字でおいて、OA=OB=OC=AB=BC=CAとなる条件、A~CがS上にある条件を考えていけばよいでしょう。
(2) △ABCがxy平面でどのように切断されるかを考えていきますが、回転を表現できるようにA~Cを座標設定していきます。対称性等を駆使してできるだけ考える範囲を減らしていきます。
<筆者の解答>