ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慈恵医大数学 -2004年-

このシリーズでは、東京慈恵会医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

19回目の今回は2004年です。

(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)

第1問

小問集合です。

 

(1)確率の問題です。

Xの確率分布が1/nずつという一様分布になっているので、それを1次式で変換しただけのYの確率分布も1/nずつとなっています。これを利用してYの期待値と分散を計算していきます。Yの分散は、「Y^2の期待値」-「Yの期待値の2乗」で計算できます。

 

(2)またしても確率の問題です。

最後にAが3連勝し、途中でBが3連勝しないような勝ちパターンを虱潰しに探していきます。

 

(3)積分の計算問題です。

 

積分区間の変わり方を見ることで、変換の仕方がt=tanxだということはすぐに分かるでしょう。この変換の下でdxと(sinx)^4がtの式でどう書けるかを調べていきましょう。最終的な積分計算はかなりシンプルです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

3次方程式の解に関する問題です。

 

(A)基本的には問題文の指示にそのまま従って証明していけばよいです。証明のカギは「s,tが互いに素」という仮定です。

 

(B)

(1)βをθの式で書いたとき、虚部が0になることを示していきます。

 

(2)これは少々難しい問題です。

θ=2π/9のときα^9=1となることに気付くことが第1歩です。この下でβ^3をαの式として計算してβの式に変換していきます。α^9=1を使うだけの変形だけだとループしてしまうので、途中で具体的に値が分かるものはそれと置き換えていきましょう。具体的にはα^3とα^6が具体的に計算できる値ですね。

 

(3) (2)で得られた3次方程式は整数係数なので、(A)の知見から「有理数解を持つならそれは整数解である」対偶を取れば「整数解がなければ、有理数の解はない」ことがわかります。

f(x)のグラフを調べると、整数解が存在しないことが分かるので、上記からβが無理数だと分かります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

点の軌跡を調べる問題です。

 

(1)P,Qの方向ベクトルを「長さ1」に縮尺を変えることで見通しが良くなります。

 

(2)中学レベルの直線導出です。

 

(3) (2)の2直線を連立すればよいでしょう。

 

(4)この小問がメインパートです。

(3)の結果から即座にKの式を調べるのは難しいので、まずはx,yのtによる増減を微分を調べてKの概形を描いてしまうことを目指します。すると、(-3,0)はt→±∞の場合に相当する点なので、Rは(-3,0)に限りなく近づくけど、この点とピッタリは重ならないことが分かります。

 

Kの概形を描いてみると楕円だと予想できるので、想定される楕円の式がちゃんと成立することを確かめてあげれば、Kが楕円だと言えます。

 

<筆者の解答>