このシリーズでは、東京慈恵会医科大学の数学の問題を解いていきます。
21回目の今回は2002年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
第1問
小問集合です。
(1)三角形の面積を計算する問題です。
ABベクトル、ACベクトルを計算して公式に当てはめるだけです。
(2)複素数平面の問題です。
一見して円の式だと分かります。z=r(cosθ+isinθ)を代入することで極方程式を計算することができます。
(3)円順列に関する問題です。
円順列の場合の数を調べるコツは、一旦横一列に並べる問題に焼き直して、円形にするときは「どれが先頭でも同じ」という考え方から、人数の分で割り算してあげるとよいです。
後半については、題意を把握しにくいのですが「異性に囲まれた場合は女性と取り換える」「同性に囲まれた場合は男性と取り換える」とまとめることができます。
最初の状態は女性の配置の仕方から大きく3パターンに分かれるので、その各々について交代を行うとどうなるかを調べていきます。
(4)行列に関する問題です。
AB=BA=Eということは、BがAの逆行列であるということです。しかし、その性質を利用してBをAの逆行列として変換してもうまく計算が進みません。
ここは、ABとBAを素直に計算して、それがEと一致する条件を地道に調べた方が速いでしょう。三角関数を利用することで解くことが可能です。
結果として、Aは回転行列か、直線に対する対称移動を表す行列のいずれかになることが分かります。
このように、bとcを入れ替えるだけで逆行列が作れる行列の事を「ユニタリ行列」と呼びます。ユニタリ行列には面白い性質がいくつかあるのですが、詳しくは大学の線形代数で習うことになります。
<筆者の解答>
第2問
統計学に関する問題です。
(1)xkの最大値がLで最小値がlであることから、即座に証明可能です。
(2) (1)の結果を利用することで証明できます。(1)で等号成立するのはxk=L, xk=lの時だけだったので、それ以外の値を取りうるものとの和を考えると等号成立しません。
(3) (2)までの誘導から、V(X)をZに関する式に書き換えていけばよさそうです。
この問題の結果は、「データの幅がL-lのとき、その標準偏差(=分散の平方根)は確率分布に関係なく幅の半分未満になる」、ということになります。
<筆者の解答>
第3問
絶対値を含んだ積分の計算問題です。
(1)(2)
xの値によって絶対値の外れ方が変わるので、場合分けをします。(1)の場合は積分区間を途中で区切っての場合分けとなります。
(3)
(1)以外の場合は直線で挙動が自明なので、(1)の場合についてだけ増減を調べていけばよいでしょう。
<筆者の解答>